【多摩川ボートGⅠ関東地区選手権(4日開幕)注目レーサー=山崎智也(41=群馬)】2015年はそれまで低迷していた関東勢の大逆襲の年となったが、今大会はその中心選手が名を連ねる。本紙は関東逆襲の立役者となった昨年のグランプリ覇者・山崎智也にスポットを当てる。

 2015年のボートレース界をひと言で表すと「関東の逆襲」だろう。長らく「西高東低」と言われ続けてきた勢力図はここへきて潮目が変わった。そのけん引役がこのスーパースターだ。

「デビューしてからずっと(西に)押されてましたからね。でも最近はそうでもないでしょ? ブス(毒島誠)とか(桐生)順平も頑張っているし、長田(頼宗)もSGを取ったしね。ちょっとはレース場でデカい顔ができるんじゃないですか」

 それにしても山崎という男は何かを持っている。大舞台になるほど恐るべき力を発揮する。奏恵夫人(旧姓・横西)と電撃結婚した直後の10年GPシリーズで復活V。奏恵夫人が引退発表した直後の12年グランプリを初制覇。そして昨年、大会前に愛娘が誕生し「女神が一人増えたから今回は楽に勝てると思う」と宣言し、ドラマチックに有言実行Vを遂げた。

「運はいいと思いますね。自分でもそう思い込んでいるし、カミさんもそう思わせてくれる。僕は基本、子供とカミさんにかっこいいところを見せたい。それを一番に考えてやっているので」

 普段から「プレッシャーが楽しい」「イベント事が大好き」と言う。1億円が懸かったレースでも「たぶん勝てる」と楽観できる強さがある。この余裕は人一倍の努力によって生まれているが、彼はそれを一切、表に出さない美学を持つ。

「SGに出ている人は全員、間違いなく努力しています。でも僕らは努力を自慢するためにやっているんじゃない。この世界は結果だけですから」

 2度目のグランプリ制覇を含むSG3V、年間最多賞金獲得選手、最優秀選手、記者大賞。15年は名誉ある賞を総なめにしたが「タイトルには興味ないですね」と相変わらず素っ気ない。

 関東チャンプを決める地区選手権は「勝って当たり前」という雰囲気すら漂う。今大会を皮切りに今年はどんなドラマを見せてくれるのか? そんな質問をぶつけると「まあ、その時がきたら…ですね」とニヤリと笑った。