やっぱり最後は“持ってる男”が頂点に輝いた――。ボートレース住之江のSG「第30回グランプリ」優勝戦が23日に行われ、1号艇・山崎智也(41=群馬)がインから逃げ切り圧倒! 12年以来、2度目のグランプリ制覇を達成した。賞金トップで出場し、1号艇で勝ち、年間賞金王に輝く「完全王道V」を成し遂げた“貴公子”。SG優勝回数「10」は歴代3位タイ、現役では松井繁に次ぐ2位となった。

 優勝戦の展示航走前、急に強まった雨。風雲急を告げ、何かが起きそうな雰囲気が漂う中、6号艇の茅原悠紀が前づけ策に出た。普通に考えればインにとって厄介だが、山崎の強運ぶりを象徴するようにこの進入が吉と出た。

 抜群足の石野貴之がスリットでグイッと前に出るが、その茅原が完全に「壁」となった。石野のまくり差し、茅原の差し、毒島誠のまくりはすべて不発。バックで先頭に立ち群馬の後輩・毒島の猛烈な追い上げに遭ったが「プレッシャーが楽しい」というお祭り男は3周6つのコーナーをエンジョイするように走り、Vゴール。

「ブス(毒島)とはワンツーしようって話していたけど、追い上げられて『かわいくないな』って思った(笑い)。今回は賞金1位で入って1号艇で逃げたので最高です」

 今節は勝負の流れを独り占めした。トライアル1stでは逆転勝利、その直後の枠番抽選で1枠をゲット。TR第3戦では5着に敗れたもののファイナル1号艇に。

 だが、それ以上に最高の演出をしたのは家族の存在だ。今月9日に愛娘・寧々ちゃんが誕生。妻・奏恵さん(旧姓・横西)の出産に立ち会った。「カミさんが頑張る姿を見せてくれ、スイッチを入れてくれた」。10年の結婚直後のSG優勝、12年の奏恵さん電撃引退直後のグランプリ制覇に続き、またもや師走の住之江で“伝説”をつくった。

 賞金額は2億円を超え、正真正銘の「賞金王」。艇王・植木通彦氏(引退)に並ぶ「SG10V」という偉業には「まあまあすごい選手ですね」と相変わらずクールに笑い飛ばしたが、帰り際の「早く子供の顔が見たい…」と言った甘い表情は、これまでのクールでカッコいい智也スマイルとは少し違った。

 妻・奏恵さん(旧姓・横西)のコメント「やりましたね! 本当は現地に見に行きたかったんですけど、さすがに今回は行けなくて…。ちょうどレース直前に娘が泣きだして、抱っこしながら応援してました。このタイミング(9日に娘が誕生)だったので、彼も“スイッチが入った”と言って出かけていったんで、やってくれるかなと思っていたけど、こういうところでしっかりと勝ち切ることができるのは一選手として、レーサー目線ですごいと思います。ありがとうございました」