艇界一礼儀正しい男の「古くさい手法」

2011年03月25日 16時53分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】 1月末に行われた宮島「新鋭王座決定戦」の初日に永田秀二(25=東京)がいかに師匠に心酔しているか、との内容の原稿を書いた。
 師匠とは艇界一礼儀正しい男、斉藤仁(33=福岡)だ。これだけ通信機器が発達した中にあっても師匠のプロペラアドバイスはメールや携帯電話ではなく、すべてファクス。東京と福岡。遠距離指導だからこそこんな古くさい手書きの手段を重宝しているという。
 新鋭王座から1か月半が経過した先週のこと。再び斉藤が蒲郡に参戦していたのでファクスの件を記事にさせてもらったとあいさつに行ったら、なぜか顔をしかめたのは意外だった。
「あんまりそういうことは書かないでください」
 ヤバイ話でもなければ気取った美談でもない。人格者である斉藤にややキツイ言葉を投げかけられたので記者は戸惑うしかなかったが…。我々の会話を聞きな がら隣でニヤニヤ笑っている男がいた。昨年のMVP中島孝平だ。整備室に微妙な空気が流れる中、斉藤が重い口を開いた。「コーヘイが(東スポの)その記事 を読んだらしいんですよ。それからずっと何かあるたびにファクス、ファクスなんて冷やかされてばかり。ホント恥ずかしいですよ…」
 そういう横でまた中島が含み笑いを浮かべている。斉藤からしてみれば“時代遅れ”とからかわれるのがお気に召さなかったのだろう。
 調べてみれば1期違いのこの2人は2月の平和島GⅠから4節連続で同じあっせん。記者の書いた記事が原因で後輩から“いじめ”に遭い続けたとしたら申し訳ない。
 こんなやりとりがあった後、斉藤が別れ際にこうつぶやいた。「でも、東スポはウソは書かないですもんね?」 数秒の間を置いてからポツリとうなずいておいた。