今村とワシでは心の中が違うんよ

2011年05月24日 16時50分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】公式プロフィルでは60キロ。艇界屈指の重量級巧腕レーサー・亀本勇樹(49=広島)に重量級の極意を取材している最中にこんな切り返しを食らったことがある。
「もしもの話じゃけ、ワシと今村豊が同じ50キロで走ったとしてもワシは絶対に勝てんのじゃ。何でかわかる? 単純に腕の問題やないで」
 話術にたけた選手を取材する時は下手に知ったかぶりをするとロクなことはない。聞き上手に徹するに限る。しばしの沈黙を嫌ってこう切り出した。「体重計 の上では同じ50キロでもボートに乗った時点で自分に負けてる。心の中が違うんよ。向こうは3食きっちり取っての50キロ。こっちは飲まず食わずでフラフ ラになりながらの50キロ。思考回路もまともに働かんし精神的ダメージが大きすぎる。走る前からそれでは結果が見えてるわな」
 カメさんも重量級個性派としてGⅠタイトルも手にしている。SG常連の一人でもあったが、03年の戸田「総理杯」を最後に大舞台から遠ざかっている。 「重いから勝てんなんて思うとる今の若手に一番言いたいんは減量、減量やなく、他にやることがあるやろ、と。もっと腕を磨くことに精を出せ。ワシかて8点 勝率を残したことがあるんよ。この体重で8点残したんは他にクロさんと大森さんぐらいやないかなあ」
 今から22期前=11年前には8・05の自己最高勝率をマークしている。引退した黒明良光氏、大森健二氏らとともに“重量級超一流”の仲間入りを果たした証しでもある。
「そんなこと言うても今の若手はワシの全盛期なんか知らんし、それも当然やな。今さらSGカッパを着るのも恥ずかしいし、そんなつもりもない。ワシは大体 コースを取りにいくけど若手はみんなモニターで見てるよ、俺の走りを。インから落として回ってバンカーにはめられてばかりいたらナメられるだけ。だからこ そコースも取るし、Sも行く。握って回る。この世界は一度、ナメられたら終わり。みな、とことん容赦せんからな」
 舟券を買うファンが選手それぞれにイメージを持っているのと同様、選手の間でも「アノ人は…」なんてイメージを持って戦いに挑んでいる。勝負の世界では当然。ナメられてたまるか、の思いが様々なものに向けた原動力となっている。