銀河系85期の〝超落ちこぼれ〟田中健太郎の無印人生

2011年10月18日 16時35分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】本紙ボート面には◎○▲△と4つの印がある。これらの印を、どんな場合でもつけたくない“無印限定”選手もいる。
 岡山の田中健太郎(32)——。インに入ろうがモーターがどんなに噴いていても印は必ずヌケ。成績だけでそんな偏見を抱いていたが、久しぶりに彼のレースをマジメに観戦したら「見方」が変わった。

 レースに覇気があふれている。少し気になってプロフィルの欄を開いたら85期と記されていた。(銀河系にもこんな落ちこぼれがいたのか…)

 デビューから5期連続で2点台の勝率。「なぜそんな弱かったのか?」。趣旨をはっきり伝えて取材を申し込むと「何度もクビを覚悟した男ですからね」と快 諾。まあよくしゃべること。あまりにも過激な言葉が飛び交うため、同期出世頭の井口佳典が記者と田中の会話を熱心に“盗み聞き”している。賞金王が「一 体、何の取材をしてるんですか?」と心配するほど、田中のデビュー当時は悲惨なレーサー人生だったのだ。


 81期から連続で試験を受け続け、5回目にしてようやく合格。本栖に入所した。
「1発目はなんで落ちたか自分でもようわかってますわ。当時、松井繁さんと服部幸男さんをポスターとかで前面に押し出して業界をアピールしてたんですよ。 ま、志望動機もそれでいいかなと思って適当に書いたんですけど、情けないことに服部幸男が漢字で書けない(笑い)。しかも、なぜか服部イクオさんが目標、 と書いてしまったのが一番の不合格理由です」
 レーサーだけでなくお笑い芸人も目指していただけあって口は達者。彼と話していると「何とかなるさ」との言葉が何度も出てくるが、これがそもそものつまずきの原因だった。
 85期に合格し、何とかプロレーサーになることはできたが、考え方は完全に「素人」のまま。
「選手になっちゃえば、適当に何とかなるかな、と。仕事はすべてプライベートのためと思って生きてましたから」
 そんな男が改心して、人生初の優勝戦1号艇をつかみとることができる存在になったのには、同期銀河系の助けがあったことは見逃せない。
(この項続く)