夫婦ボートレーサー泣き笑い 力良&裕子の交換日記

【黄金井力良の巻】ボートレーサーは全国24レース場を1年中、飛び回っています。出場選手はレース開催の前日(前検日)の正午までにレース場に入らなくてはいけません(ナイターは午後4時まで)。その入り時間はとても厳しく、1分、1秒でも遅れるとその開催に出場できず、さらに1~2か月もレースに参加できない罰が待っているんです。

 なので、余裕を持って午前10時半~11時くらいにレース場に入る選手がほとんど。自分は近いレース場のときも「絶対に遅れたらダメ」という意識があるので目覚まし時計を何個もセットします。でも、ほとんど鳴る前に起きちゃう。安心して眠れないんです(苦笑)。

 九州などの遠いレース場のときは、その開催で一緒の同支部(同県)のメンバーと前検日の前日に前乗りします。この場合の宿泊代は“自腹”なのですが、もし台風などで交通機関にトラブルがあっても大丈夫なようにレース場の近くのホテルに泊まる人は多いですね。

 よく知人から「選手は全国各地に行けていいね」と言われるんですけど、とても観光気分にはなれません。前乗りした日はご当地の名物を食べたいけど、次の日からの体重を考えると思いっきり食べられない。レーサーには減量が付き物ですから、食べても少しだけ…物足りないですね。それに、一歩レース場に入っちゃうと最終日まで選手宿舎に“缶詰め”になって出られない。北は群馬・桐生、南は長崎・大村まで全国どこに行っても行動はほぼ一緒。周りが思うほど楽しいことはないんです。

 最終日のレースを走り終えたら基本的に当日のうちに帰ります。「選手は帰ることだけは早い」ってよく言われますが、とにかくみんなあっという間にレース場を出ます。レースが終わった順に帰っていいことになっているので、同じ支部で一番出場レースが遅い人に合わせて帰郷することが多いです。だから、競技場内の至る所にスーツケースを広げ、レースで使用する荷物以外の衣類などを事前に詰めておき、レースが終わったら残りの荷物を突っ込んですぐにレース場を出られるようにします。シャワーを浴びて、スーツに着替えて…とやることは山のようにあるんです。レース終了の30分後にはタクシーに乗るので、みんな風のように去っていきますよ。新人のときは先輩の帰り支度の速さに全く付いていけず必死でした。1秒でも早く帰れるようにスーツを着る順番に並べたり、ワイシャツのボタンを何個か留めておいたりと自分なりに工夫し、今では相当速くなりました。

 このように移動は行きも帰りも神経を使いますが、帰りの新幹線で飲むビールが最大の楽しみ。1週間も減量して酒を抜いているので、すごく効く! 1杯で顔が真っ赤になりますね。

 ケータイも1週間ぶりに電源を入れるとメールが何件もたまっていて、帰りはそれを確認しつつ、ビール片手にレースの反省会。「仕事が終わった」と一番実感できる瞬間ですね。

☆こがねい・りきら=1986年3月4日生まれ。埼玉支部の100期。2007年5月の戸田でデビュー。10年4月の江戸川で初優出。優勝は未経験。15年後期は勝率5.38(A2級)。14年の獲得賞金額1660万2000円。身長173センチ。血液型=A。

 <次回は妻・中西裕子が執筆=10月1日掲載>