ボートレース尼崎のSG「第27回オーシャンカップ」は24日、12Rで優勝戦が行われた。7メートルの向かい風が吹くコンディションの下、枠なり3対3で始まったレースは1号艇の椎名豊(33=群馬)がインからコンマ11のトップスタートを決めると一気の先マイ。外5艇を完封すると独走でゴールを駆け抜け、SG3回目の出場で初優出Vの快挙を達成した。

 尼崎上空は「オーシャンカップ」優勝戦にふさわしい快晴だった。しかし、水面には7メートルの向かい風が吹き〝まくりごろ〟の条件。インが強い尼崎も今節は外枠が躍動した上に、スリットでは3コースの丸岡正典がヘコみ、4カド・太田和美の攻めを誘発したが――。

 この日、というより今節の椎名には関係なかった。スタート展示と同じコンマ11のスタートをビシッと叩き込むと、横綱相撲の逃げ切りVだ。

「(スタートは)早く仕掛けたつもりだったのに、1本目の空中線を見たら早くないので焦った。1Mは覚えてないですね。スタートの景色しか覚えてない。3周1Mを回って、やっと画面(対岸の映像装置)を見れる余裕ができました」

 強心臓の椎名が1Mを覚えていないのは意外だが、ゴール直前には右手で大きくガッツポーズ。SG新参者とは思えないほど板についていた。

「引いたエンジンに手応えがあったので、初日からチャンスはあるな、と思っていました。調整も、今節はほとんど外すことなくいけました」

 評判機の多くが脱落する中、2号機だけはブレることなく噴きまくり、椎名の野望実現のサポートをしたわけだが、この勝負強さのルーツをたどると、今年4月に電撃引退した山崎智也さんに行きつく(椎名の師匠・金子猛志は広町恵三さん門下で山崎さんの兄弟子)。

「自分は山崎さんから全てを教わりました」

 賞金ランクも5位に急浮上。トモヤから戦いのエッセンスを伝授されている男は「山崎さんの後を行くのは(目標が)高すぎるけど、年末に向けて頑張りたい」とSG「グランプリ」へまい進すると誓った。