◇清埜翔子(30)埼玉支部111期

 スタート力上昇に伴い着実に地力をつけている。デビュー当初から握って攻めるレーススタイルを身上としていたが、それだけでは上を目指すには厳しいと感じたことが調整面を含めて、いい転機となった。

「まくれなかった時のまくり差しや差しが苦手でそれを習得しないとダメ。一番求めるのは乗り心地や出足だけど、スタートをしやすい足も必要だなと思い始めたんですよね。そこがくるようになったのが、スタートが早くなった要因になってるんじゃないですか」

 2020年の平均スタートタイミングがコンマ17。それが2021年、2022年とコンマ15に向上し「まくり切れなかった時」の機敏な立ち回りにつながっている。

 通算8優出のうち、3回を今年マークしているのも勝負強さを増した証だ。「たまたまエンジンが良かったのもあるし、うまく流れに乗れた」と語るが、今年に入って明らかな変化も感じ取っている。

 これまでは期初めに苦戦して勝率を残せないことが多かったが、2023年前期適用の級別審査期間が始まった5月からも好調をキープしている。特に地元の戸田オールレディースでは11戦6勝と大活躍。節間で3回、連勝ゴールを駆け抜け「こんなのは初めて」とキャリアアップにつなげている。まだ気は早いが、3節消化した段階で2023年前期適用勝率は6・83。かつてないスタートダッシュに成功したことで余裕も生まれており、初のA1昇格も期待できる。

 選手生活10年目でまだ未経験なのが、優勝はもちろん1号艇での優出。「自分では優勝戦に乗ってしまえば、どのコースでもチャンスはあると思ってるけど、また違うかもしれませんね」。V戦絶好枠の有利さを実感すれば、さらなる欲が生まれるはずだ。

 6月5日からは多摩川ヴィーナスシリーズに出走予定。「若手のころ、よく練習させてもらったし、普通よりも好きって感じの水面(笑い)。序盤のこの調子の良さがずっと続けばいいんですけどね」とポジティブな笑みを浮かべている。

〈清埜翔子・6月の出場予定〉
◇6月5日~6月10日 多摩川ヴィーナスシリーズ
◇6月16日~6月19日 桐生一般戦
◇6月30日~7月5日 浜名湖GⅢオールレディース

 ☆せいの・しょうこ 1991年8月12日生まれ。埼玉県出身。埼玉支部所属の111期生。2012年11月の戸田でデビュー。2014年1月に初勝利を飾る。通算8優出でまだ優勝経験はない。同期には安河内将、堀本和也、高倉和士、木村仁紀、大豆生田蒼らがいる。