ボートレース宮島のSG「第49回ボートレースオールスター」は29日、ベスト6による優勝戦が行われた。レースは、3コースからコンマ09のトップスタートを決めた原田幸哉(46=長崎)がイン先マイした白井英治の内へまくり差しを叩き込み、2M先取りで決着。5回目のSG優勝は暮れの地元・大村「グランプリ」へのパスポートとなった。

 中堅機を極上に近い足にまで仕上げた調整手腕もさることながら、原田の真骨頂であるスタートの切れ味が光ったシリーズだった。「今節は、ずっといいスタートを(ファンに)お見せできたことがうれしい」と言うように、優勝戦の飛び出しがコンマ09。7走のうち6回目のゼロ台Sは、3日目から4走連続だ。

 それでも「今は(優勝が)信じられない。ウソだろ?という感じです。(白井)英治君が優勝すると思っていたんで…」と表彰式の壇上でも半信半疑だった。ただ、ウイニングランで自分に寄せられる「ユキヤ!」「ユキヤ!」の声援は「選手として最高の瞬間。一番幸せな時間でした」と至福の時を味わった。

 その裏にあったのは、ファン投票で出場する「オールスター」という大会で、今までファンの期待に応えられていなかった(最後の優出が2007年=2着)自分自身への憤りだ。

「毎年、選出順位(得票数)が落ちてきて、レース内容にも不甲斐なさを感じていた」

 昨年8月にSG蒲郡メモリアルを勝ったばかりでも「オールスター」という大会は別物。ファンのありがたさを改めて思い知る大会だということ。その大会で初めて優勝という結果を出し、ひとまず恩返しができた。

 そして、次の目標となるのが「どうしても出たい」と切望する12月の地元・大村開催のSG「グランプリ」である。「オールスター」優勝で出場は事実上〝当確〟となったが、暮れに最高の結果を出すべく「レース、スタート、プロペラと、考えながらやっていきます!」と〝原田幸哉〟の完成形へ向け、磨きをかける。