遠藤エミが女子レーサー初SG制覇! 鵜飼菜穂子さんが明かす「苦難の歴史」

2022年03月22日 11時36分

優勝した遠藤エミ(東スポWeb)
優勝した遠藤エミ(東スポWeb)

 ボートレース最高グレードSGの「第57回クラシック」の優勝戦が21日、長崎県のボートレース大村で行われた。優勝したのは女子レーサーの遠藤エミ(34)。70年間にわたるボートレースの歴史で女子レーサーによるSG制覇は初の快挙だ。女子ボート界のパイオニアとして昭和の時代から活躍した“インの鬼姫”鵜飼菜穂子さん(62)が遠藤の偉業の“真価”を解説した。

 1990~2000年にかけてSG参戦21回の経験がある鵜飼さんは女子ボートレーサーのパイオニアとして最前線で活躍した。まだ男尊女卑の風潮もあった昭和の時代に男子トップクラスに敢然と牙をむいたのだ。「私のころは基本的に1人の選手として認めてもらえなかったからね(笑い)。SGに行っても他の選手から『オンナのクセに』なんてずっと言われ続けたのよ。下関(91年メモリアル)の準優2号艇で内を取りに行ったら、レース後にメチャクチャ嫌みを言われたしね。それを考えるとエミちゃんたちの今の時代は男女平等でうらやましいし、いいことだと思うなあ」と女子レーサー苦難の歴史を振り返る。

 今回、遠藤が歴史を塗り替えた背景には女子レーサーのこうした環境の変化がある。鵜飼さんは「女子がSGに出てもうとまれることもないし、うらやましがられることもない。それが当たり前になったことが大きかったのよね」と分析。その上で「エミちゃんだって何十回とSGに出てるし、タイミングも流れもうまく自分で引き寄せてる。私がSGに出てたころは“オリンピック=参加するだけ”だったけど、今はそうじゃないもん。自分で経験を積んで、チャンスも自分でつかんだ。ホント立派なことですよ」と遠藤の快挙を絶賛する。

 女子戦の人気は年々高まり“やれば売れる”時代。今回の遠藤のSGVでさらに盛り上がることは間違いない。「エミちゃんだけじゃなく、チカちゃん(平山智加)とか、守屋(美穂)さんもいるし、まだまだチャンスはあると思う。今回のエミちゃんの優勝は他の女子選手にも励みになるし、次に続く選手が出てくれば、もっと盛り上がりますよ」と“予言”。

「こうなったら年末のグランプリで(優勝者に与えられる)黄金のヘルメットをかぶってほしいですよね。冗談じゃなく、チャンスはあるんじゃないかなあ。エミちゃん、おめでとう! 私も今の時代にもっと走りたかったなあ(笑い)」

 女子初のグランプリ出場&制覇、そして賞金王へ――。女子レーサーのさらなる飛躍に夢をはせながら鵜飼さんは後輩に熱いエールを送り続ける。

【記者の目】
 史上初の女子レーサーSGV。この偉業の価値を検証する。

 ボートレーサー1593人のうち女子は239人と全体の約15%のみ。もともと絶対数の違いがある上に記念レースへ出場できるA1級(2022年前期)は30人にまで絞られる。まず、この狭き門をクリアしなければならない。

 現在、年間8大会あるSG開催で女子が定期的に出場に名を連ねるのはクラシック、オールスター、ダービー。SGレースの出場権利を確保すること自体が難しい点も挙げられる。

 さらに女子選手はヴィーナスシリーズ、オールレディースを走る機会が多く、実力上位の男子レーサーとの対戦が限られてくるのも記念戦線で勝ち切れない原因だろう。実際、過去の男女混合GⅠを制したのも山川美由紀(1999年の四国地区選)、平山智加(13年の尼崎60周年)のみ。女子レーサーにとってSG制覇は“夢の世界”だった。これを現実に成し遂げたことで他の女子レーサーの目の色も変わってくるだろう。女子ボート界がさらに盛り上がることは確実だ。

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