現役生活56年、最古参ボートレーサーの加藤峻二(73=埼玉・5期)が引退を決意し、7日午後、都内で記者会見を行った。

 加藤は1959年のデビュー以来、常に第一線で活躍しSGレースを4回制覇。2003年には「SGボートレースオールスター」に61歳4か月で出場し優勝戦に進出した。2013年には戸田で最高齢優勝(71歳2か月)をするなど数多くの最年長記録を打ち立て、ボートレース界のレジェンドと称されていた。

 引退決断に至る経緯について、会見で「具体的なことは決めていませんでしたが、辞める時期は遠くないと感じていました。その矢先、昨日(6日)まで走っていた地元・戸田でのフライングがきっかけとなりました」1日、15年8か月ぶりとなるフライングを切ったことが、気持ちの面での区切りとなったようだ。

「体の不調はなく、事故なく走ったこと、数多く走ったことが誇りでした。家族には昨日(6日)、自宅に帰って妻にだけ辞める話をしました。悔いはないと言いたいところですが、もう少し走りたい気持ちはあります」と話し、やや悔しさと寂しさをにじませた。

「今後については何も考えていませんが、ゆっくりしようと思っています。これまで応援してくれたファンの方々、長い間応援いただきありがとうございました」とファンへのお礼で会見を締めた。

☆かとう・しゅんじ=1942年1月12日生まれ。埼玉県出身で埼玉支部所属の5期生。59年6月に選手登録され、翌月地元の戸田でデビュー。以来、早くから記念戦線で活躍し、70年の第5回鳳凰賞(現ボートレースクラシック)でSG初優勝を飾るなど、一時代を築いた。センター〜アウトからの素早い攻め口から「隼(はやぶさ)」と呼ばれたほか、驚異的にフライング事故が少ない(通算で25回)選手としても有名。13年戸田のタイトル戦で優勝し、最高年齢優勝記録(71歳2か月)を塗り替えた。近年も年齢を感じさせないレーススタイルから「艇界の至宝」と呼ばれ、幅広いファンから支持を得ていた。通算1着数は3294回(1万4652走)で、優勝は120回(SG優勝4回、GⅠ優勝20回)。身長163センチ、体重50キロ。