◇馬野耀(27)大阪支部120期

 高校時代は陸上の長距離ランナーとして鳴らし特待生で大学へ。大学生活になじめず2年で中退すると実業団に活躍の場を求めたが、ケガで陸上と決別。ここからが人生〝第2章〟の幕開けだ。

「自分のおじさんが湯川(浩司)さんの後援会長と知り合い」だった縁もありボートレーサーに転身。レーサー受験は一発合格だったものの、デビュー後は事故点との戦いが続きB1に甘んじていた。事故点の呪縛から解放された今年1月、晴れてA2昇級となったわけだが、これには師匠の渡辺雄一郎も「遅い!」と苦笑い。続けて「遅いというのはいい素質があるからで、今後まだまだ伸びる楽しみはある」と弟子の飛躍に期待を寄せる。

 ダッシュ専門から枠なりに入るようになったこと、そして事故が減ったことも勝率アップの要因だが、もう一つ、大きな〝気づき〟が成長を促したという。

「去年(5月)のまるがめ。6号艇で準優に乗ったんですが、先輩の古場(輝義)さんに教わったペラをアレンジしたらすごいピット離れになって、S展示でインまで取れた。本番は進入からもつれてSもバラつき、カド一撃で勝ったんです。ペラ調整でこれだけ変わるんや! と目からウロコでした。あのレースを機にペラ調整の幅が広がりましたね」

 それまでは「成績=腕だと思っていたんで、試運転でターンを磨くことばかり考えていました」とがむしゃらに試運転を繰り返していたが「ペラ調整が一番大事なんだ」と仕上げに覚醒。プロペラ調整にかける比重を増やしたことが勝率アップにつながったのだ。

 理想とするのは「自分の中では丸岡さんのターンが一番」と言う丸岡正典の旋回フォーム。そして、正月のオール大阪(王将戦)では4日目7Rで丸岡と道中2着競りを演じ、ツケマイで抜き去るスピードを披露した。「あのレース、丸岡さんは(回り足が)重たい、と言っていましたから」と謙遜するが、SGレーサーと一対一の勝負を制したのは事実。仕上げとターンの両面で進化中であることを証明してみせた。今年の干支はトラでも、注目すべきは〝馬〟の大駆けだ!

☆うまの・ひかる 1994年3月11日生まれ。大阪支部の120期生。大阪府出身。2017年5月、住之江でデビュー。初勝利は同年12月の三国。2020年11月、大村で初優出(4着)。昨年は3優出をマークし、今年は初優勝の期待もかかる。同期に前田篤哉、佐々木完太、石原翼らがいる。