【児島プレミアムGI「マスターズチャンピオン」:カウントダウンコラム(2)】今大会で「マスターズ」にデビューする新勢力にスポットライトを当てる本紙恒例のビッグレース直前企画第2弾。今回参加選手にSGタイトルホルダーは15人。そのうち、矢後剛に次いで登録番号が若いのが浜村芳宏(徳島・60期)。今期は勝率も7点台を回復、名人世代に入り、勢いが再燃した印象だ。実績、技量から今大会もV候補になる浜村に聞いた。

 2008年後期を最後に勝率が7点を割り込んでいた(それでも当然A1だが)浜村が、今期は7・40のハイアベレージを叩き出した。

 復活の要因を探ると、意外な事実が浮かび上がった。

「8年間、選手会の理事をやっててね、立場的に無理なレースはできんし、レース以外の仕事もあったから。理事を退任した途端にこれ(7・40)やからね(笑い)。(在任中は)お客さんに迷惑かけた部分もあったし、選手として脂が乗ってる時にレースだけに集中したかったよ。でも、自分も引退したら選手会から年金をもらうわけやし、理事の仕事も大切なことやからね」

 この数年、全盛期に比べてレースぶりがおとなしく映ったのは、こんな事情があったわけだが、重責から解放されてすぐに結果を残せるのは、体力を含めて技量の劣化がないことの証明でもある。

「まだ腰もヒザもなんともない。40歳からパーソナルトレーナーと契約して、レースから帰ったらみっちりトレーニングをやってる。故障してから治すのは大変やからね」

 持って生まれた体の柔軟性もあるのだろうが、全盛期のレース同様、先手、先手で動いたことが“戦える体”をつくったといえる。年齢的にも肉体的にも若さを売りにして、いざマスターズチャンピオンへ。

 児島水面との相性を含めて勝算はあるのか。

「出場選手を見ると、自分が新鋭戦に行き始めたころのメンバーやね。最近は若手といっても雑用に追われて一日が終わるようなことはないし、新鋭戦を思い出して雰囲気を楽しみたい。ただ、走る前はどこでもそうだけど、優勝を目指してるよ。児島は記念の優勝もあるし、水面は気にならない。ま、自分は海水も淡水も気にせんから」

 問題があるなら「昔からそうやけど、自分はいいエンジンを引かんからね(笑い)」という点だろうが、そこはかつてボート界を代表するプロペラ巧者として名をはせた浜村だ。抽選運の悪さはプロペラ調整でカバーするはず。あとは往年の“弾丸モンキー”でコーナーを席巻し、Vを手繰り寄せる! 

☆はまむら・よしひろ=1966年8月24日生まれ。徳島支部。60期生として87年5月に鳴門一般戦でデビューし、デビュー節に2勝をマーク。99年5月、蒲郡「オールスター」でSG優勝。GⅠは通算10V。同期に川崎智幸、烏野賢太、倉谷和信、谷川里江、上滝和則(現選手会長)らがいる。

 ※次回掲載は田頭実