【17日開幕SG尼崎クラシック:カウントダウンコラム(2)】2015年SG第1弾尼崎「第50回ボートレースクラシック」。直前企画の2回目は今垣光太郎(45=福井)が登場。1月に宮島周年、3月には三国周年と今年すでにGⅠ・2勝。一時期のF禍&スランプを脱しベテランの域に入ったコータローの好調の要因と大一番への意気込みを聞いた。

「運がよかったとしか言いようがない」

 3月2日、三国周年を3コースまくりで制したコータローは開口一番こう言った。

「(1号艇の)山口(達也)君に勝てるなんて思ってもいませんでしたからね。うまく差して2着か3着なら御の字だと。それがあんな展開になって…。それに、優勝戦だけ伸び型になってたのもツイてました」

 ピット離れで遅れた5号艇の久田敏之が苦し紛れの前づけに動くと、2号艇のコータローはとっさの判断で3コースカドに持ち出して一撃。本人はツキを強調するが、同じ状況になったとして他の5人(GⅠ未勝利)に同じ芸当ができたかどうか。やはりSG8勝、GⅠ26勝という看板(=キャリア)の違いだろうが、それにしても勝利を呼び込む勝負師の嗅覚には恐れ入る。

 では、この嗅覚を支えるものは何か。プロペラ制度変更後、エンジンの仕上がりは抽選に左右される。徹夜でプロペラを作った時代が終わった今は「自宅でひたすらトレーニングをする毎日」だという。

「走るとヒザに負担がかかるし、筋トレは体重が増えるんで、スクワットと体幹トレーニングですね。これは完璧な体を目指して徹底的にやります。時々、やり過ぎて熱を出しますけど。三国周年の数日前も、熱が出て寝込みました(笑い)」

 研ぎ澄まされた肉体がここ一番での瞬発力、判断力を生むのだ。“完璧な体”があれば、40代半ばの選手でも20~30代の驚異的なスピードを生めることを、コータローのトレーニングが証明している。

 さて、「クラシック」の舞台・尼崎は、最後に残った優勝未経験のプール。三国と同じ近畿地区だけに走る機会は多かったはずだが、勝てない理由でもあるのか。

「尼崎はこの10年ぐらい、記念とSGしか走っていないんです。昔、新鋭リーグの優勝戦1号艇でFしたのと、一般戦で前づけでインを取った時にまくられた(笑い)。チャンスはそれぐらいですかね。記念になると、層の厚い兵庫、大阪勢が気合を入れてくるんで、なかなか勝たせてもらえませんね」

 ただし、モチベーションは三国周年より高い。

「実は、三国は無事故が優先でした。三国の競技長が代わってから、立て続けにFを切って…。自分より若い競技長に、これ以上迷惑はかけられないと思って。あんなに気合の入らない三国周年は初めてでした(笑い)」

 鬼門の地元戦をFを切らずに乗り切り、尼崎は「燃える!」条件が揃った。史上14人目の24場制覇に「グランプリ」当確という両手に花の離れ業を目指し、コータローは今日もトレーニングに打ち込んでいるはずだ。 

☆いまがき・こうたろう=1969年9月18日生まれの45歳。石川県在住。福井支部の63期生として88年11月に三国一般戦でデビュー。99年3月、児島クラシックでSG初優出初優勝を飾って以来SG8V、GⅠ26V(通算90V)を数える。同期に滝沢芳行、打越晶、萩原善行ら。身長161センチ。座右の銘は「平常心」。血液型=A。

※次回は佐々木康幸