舟券的中への近道 ボートレースアカデミー

 各支部の特徴や傾向を分析し、舟券作戦に結びつけることをテーマにしている当コーナー。残るはあと5支部。今回は干満差が激しくスタートの難所といわれる宮島をホームとする広島支部と徳山・下関をホームとしグループの細分化が特徴的な山口支部を見ていこう。

【広島支部】広島支部は5人のSGタイトルホルダーを擁する強豪支部だ。ベテラン西島義則は現在、福岡在住のためあまり地元戦に姿を見せないが、毎年正月、GW、お盆の各シリーズでは市川哲也、前本泰和、辻栄蔵、山口剛という“四天王”を中心にV戦線が繰り広げられる。

 ある若手選手は「本当に地元戦はついていくだけで大変(笑い)。何とか勝とうと若手も必死ですよ」と地元戦の難しさを語る。ただ一方で「いつも先輩にはアドバイスをもらえるし、支部の雰囲気はいいと思いますよ」と義理、人情に厚い広島支部は選手全員が一丸となって技術向上へ切磋琢磨している。

 広島勢に総じていえることは皆スタートの踏み込みが鋭いことだろう。“レッドアロー”の異名を取り、艇界屈指のスタート力を誇る市川を筆頭に、若手もビシビシとスタートを決める。

 干満差が激しく“スタートの難所”である宮島は赤ヘルレーサーたちの絶好の修業場。ここで鍛え上げられたスタート勘は他場でも威力を発揮し、どんな窮地をも突破する最大の武器と化す。

 近年では船岡洋一郎、麻生慎介に新田泰章、抹香雄三、井内将太郎、大上卓人、向井田直弥、下寺秀和、村松修二と次世代のスター候補たちが、いい“切れ味”のスタートを放つ。広島支部の選手を見つけた時は機の仕上げを度外視してスタート一撃を狙うのも面白いだろう。

【山口支部】昨年の白井英治のSG初戴冠や今村豊、谷村一哉らの華々しい活躍で意気上がる山口支部は徳山(周南市)、下関(下関市)の2場がホームとなる。それぞれの立地や県民性も関係しているのかみんなで一枚岩を形作るというよりは、小さなグループが林立し、互いに競い合っている状況だ。

 精神的な支柱は今村や白井かもしれないが、彼らの実力や存在感は他とは一線を画す。やや“近寄り難い”雰囲気があるのは確かだ。むしろ、銘柄級でいうと寺田祥のほうが、面倒見のいいお兄さんタイプという。地域的に近いところに住む吉村正明の好調ぶりは、寺田との交流が裏で支えているとか。

 その他、下関地区(中心選手・吉本正昭)には谷村一哉、長尾章平。宇部地区(同・新良一規)には海野康志郎、向井美鈴。周南地区(同・原田篤志)には大峯豊、竹田辰也。もう一つの周南地区に武重雄介、木場雄二郎。美祢地区(同・今村豊)には青木義一、村田浩司など次世代を背負って立つ個性豊かな顔ぶれが控えており、明日の今村、白井を目指している。

 特に活発なのは周南のAチームと呼ばれる原田グループだ。研究熱心なリーダー原田、減量に挑戦しステップアップを期す大峯に引っ張られ、竹田や広次修らも着実に進化中。彼らが次の支部の看板選手となる日は意外に近いかもしれない。