◇篠崎元志(35)福岡支部96期

 ボートレース蒲郡のSG「第67回メモリアル」の開幕が24日に迫った。蒲郡メモリアルの名勝負といえば2015年(第61回大会)の優勝戦での篠崎元志と峰竜太の死闘だ。ここで優勝をもぎ取った篠崎だが、その後は選手生命も危ぶまれる故障もあり決して順風満帆とは言えない6年間だった。直前連載「熱風を切り裂け!」最終回は思い出深い大会を前にした篠崎が6年間の苦悩と復活にかける思いを語った。

 昨年は優勝なし。今年も「あまりパっとしない」とリズムが上がってくることはなく、ここまでの優勝も一般戦の3回のみ。

「僕の選手生活でも一番というくらい苦しい時期でしたね。エンジンも正直ボロが多かったけど、それを言い訳にはしたくない」と長期にわたったスランプを振り返る。

 潮目が変わったのは前回SGの芦屋オーシャンカップだ。予選を3位で通過。1号艇の準優勝戦は2着に敗れたが、2019年12月の住之江グランプリシリーズ以来となるSGファイナリストとなった。

「めちゃエンジンが出ていたわけでもなかったけど、しっかり戦えた。最近はSGで優勝戦に乗れてなかったので手応えを感じることができた」ときっかけをつかんだ。

 そもそもが逆境に強い男。選手生命を左右しかねない大けがも経験してきたが、そのたびに不死鳥のようによみがえってきた。2018年には5か月の負傷欠場から復帰直後の蒲郡ダービーで準優勝。B2降格となった翌年は最多勝のタイトルを取った。

「僕は何度も地獄を見てますからね。その点では誰にも負けない自信がある。調子が悪い時期にどれだけやれるかというのが地力というか、トータルでの自分の力じゃないですか。自分は選手としてそこを一番重要視しているんです」

 上がり調子で迎える今回のメモリアル。同じく蒲郡で行われた2015年、峰竜太との歴史に残るデッドヒートを制して自身2度目のSG覇者となった大会だ。当地の通算勝率7・97も今大会出場メンバー中1位となっている。

「思い出の水面です。もちろん最近のSGはいいエンジンを引かないと勝てないけど、事前にいいイメージをもって臨めるのは大きいと思う。メモリアルで結果を出したいという思いは強い。それに実はナイターが大好きなんです。朝が苦手なので、ゆっくり眠れるナイターが合う」と闘志を燃やす。

 リズム、水面相性。完全復活をアピールするにはまたとないチャンスが巡ってきた。