女子レーサーの“真夏の祭典”プレミアムGI「第35回レディースチャンピオン」は9日に最終日を開催予定日だったが、台風接近の影響で中止順延となり、10日に仕切り直し。12Rで優勝戦が行われた。

 制したのは1号艇・遠藤エミ(33=滋賀)。GⅠ優勝は2017年12月の大村「第6回クイーンズクライマックス」を制しているが、当タイトルは初制覇。なお、2着・桜本あゆみ(33=東京)、3着・渡辺優美(28=福岡)と入着、上位3人が100期以降となるのはレディースC史上初となった。

 涙をこらえ切れなかった――。表彰式の冒頭は笑顔も見せていたが、「ずっと取りたかったレースでした。周囲への感謝の気持ちがあふれてきて、我慢していたんですけど…」と、最後には大粒の涙がポロリ。スポットライトを受けると、キラリと光った。

 涙の理由は、夢にまで見た“夏の女王”だったから。遠藤がデビューしたのは2008年。当時、女子のビッグタイトルと言えばこの「レディースチャンピオン」のみ。かつて今村豊さん(引退)が「本当の日本一はダービー」と語っていたが、年間勝率で出場者が決まる「レディースC」は文字通り、伝統の女子チャンピオンレースだ。

 結果だけ見ればトータル8戦7勝2着1回の準完全Vという圧勝だったが、「今までになかった」という完全“ノーハンマー”(節間プロペラ調整なし)、そして順延、さらに優勝戦当日は5日目までの向かい風(南風)から一変しての、追い風(北風)。不安要素は少なからずあっただろう。

 それでも「(優勝戦の)コンマ10は計算通り。(エンジンは前検日に)下した時からすごく出ていたし、1節間、自分に安心感を与えてくれた1号機にも“ありがとう”といいたい。ペラ小屋に近づくと叩きたくなるので、東京五輪を見てました(笑い)。まだ甘いこともたくさんあるけど、メンタル的にも少し成長できたかな」と、エンジンと自分を信じたことが最大の勝因となった。

 これで女子獲得賞金ランクはトップに浮上。さらに男子を含めた全体の賞金ランクも28位に押し上げた。「最終的には大みそか(クイーンズクライマックス)だけど、SG(チャレンジカップ)も意識して走りたい」。“湖国のブンブン娘”が強豪男子を相手に戦う日が今から待ち遠しい。