ボートレースの女子ブームは止まらない。全国各地で行われるヴィーナスシリーズ戦、オールレディース戦はいまやボート界の“ドル箱”だ。その女子レース戦線で今、急成長を遂げている若手レーサーがいる。開会式やイベントでのコスプレパフォーマンスで大人気の市村沙樹(27=東京)、近況の充実度が目を見張るクールビューティー・中沢宏奈(26=東京)の2人。2015年の注目株だ!

 ――市村選手はGIレディースチャンピオンに初出場。中沢選手は10月に初優出。目覚ましい一年でしたね

 市村:いいことも悪いこともあった一年でしたが、反省の方が多いかな。レディースCでは1着が取れなかったし…。

 中沢:自分のペースで頑張れたと思います。

 ――14年で一番、心に残るレースは

 市村:宮島で優勝したレース(7月)ですね。エンジンが出ていなかったけど、選手になって一番ペラを叩き変えました。5回くらい違う形にしましたね。やればできるって思った。

 中沢:私は浜野谷(憲吾)さんに競り勝ったレース(8月の多摩川一般戦2日目=2着)ですね。あれは自信につながりました。でも、最後にやらかしちゃって…(予選最終日6着)。優勝戦に乗れなかったのが反省。

 ――大村の初優出(2着)もいいレースでした

 中沢:あ、それが一番ですかね(笑い)。でも優勝できなくて…。帰りの飛行機でもホントに悔しかったです。

 ――市村選手はわずか2走足りずにA1級を逃してしまった

 市村:フライング(F)を切ったので自業自得です。結局、今年は3か月くらいF休み。FをなくせばレディースチャレンジCにも手が届くかもしれない。そこが課題です。

 ――2人とも体重が軽い方ではない。「減量」も共通の課題ですね

 市村:今、絶賛リバウンド中なんですけど!(笑い)。結婚式(7月)が終わったら気が抜けちゃって…。50キロは超えないようにしています。

 中沢:私も甘いものが好きで…。チョコとか大好き。止まらなくなります(笑い)。でも食べないようにしています。

 ――お互いに見習いたい部分はありますか

 市村:思い切りの良さですかね。私はまだちゅうちょしちゃうことがあるので。

 中沢:市村さんのポジティブな部分を見習いたい。私はすぐ冷静さがなくなるので…。

 ――レーサーとしての課題は

 市村:最近は他の選手の乗艇姿勢を見るようになりました。やっぱり上の人たちはレベルが高い。足りないものが多すぎてショックですね。

 中沢:私は最近、加圧トレーニングと乗艇姿勢の練習をしています。モンキー(ターン時の姿勢)も男子選手とは全然違う。それを意識して練習したら、今までと使っている筋肉が違うって分かった。体がブレなくなった。

 ――プライベートな話になりますが、市村さんの結婚式に中沢さんも出席しましたね

 中沢:ウエディングドレスが奇麗でした! 自分も着たいって思いました。

 ――かつてデビューから3年間は彼氏をつくらないと言っていた

 中沢:それは守ったし、今もいないですよ(笑い)。もう27になるし、そろそろ年齢的にヤバイなって思いますけど、さあ彼氏をつくろう!とはならない。

 ――市村さんの旦那様はA1級レーサー清水敦揮。選手同士で結婚して良かったことは

 市村:それは山ほど。プロペラや旋回のことも教えてもらえるし。

 中沢:私も相手はレーサーがいいです! 仕事への理解はもちろんあるし、何より常に一緒にいたくないので(笑い)。

 市村:ハハハハ。

 ――女子レーサーはお化粧も大変ですよね

 市村:フライングしたら化粧のパターンを変えますよ。シャドーの色を変えたりとか。

 中沢:私はレースでは常に一緒。以前、成績が悪くて化粧を変えたら転覆したので(笑い)。

 ――他に女子レーサーの苦労は

 市村:男子選手ってすごい女子選手を見ているらしくて…。あの子、ネイルが取れてるとか、手に毛が生えてるとか。

 中沢:ハハハハハ。

 市村:怖いなって思う。夏場は常に毛の処理をしないとね!

 ――女子戦ではカメラマンにも狙われる宿命だ

 市村:ヘルメットを脱いだ直後に撮られるのは正直、嫌ですね。頭がボサボサだとどうしよう!って思う。

 中沢:私はホントにカメラが苦手なんです。だから笑えない。

 ――特にお2人は周囲からビジュアル的なことが求められますね

 中沢:私はまだ全然レースで結果を出していない。それなのに取り上げられるので、ちょっとつらい部分もあります。だからこそ、早く結果を出さなきゃって。

 市村:でも、私はそれで一人でもファンが増えたり、興味を持ってくれる人がいればいいって割り切ってますね。

 ――もはやコスプレは市村さんの代名詞。レディースCでの初音ミクのコスプレは最高でした!

 市村:そういえば、初音ミク関連のサイトに私のことが載っていたんですよ。もしかしたら、ここからボートに興味を持ってくれる人がいるかもしれない!って思ったら、コスプレも一つの手かな…と思う。

 ――確実に業界のためになっていますよ

 市村:もともとフライングをしすぎて業界に迷惑もかけていたので、何か恩返しできることをやりたいと思ったのがきっかけ。水面で返せる自信がないから、コスプレは恩返しの一つなんです。

 ――では2015年の目標を一斉に。せーの!

 市村:A1に上がりたい!!

 中沢:A級に上がる!!

 ―― 一致しましたね

 中沢:いや「1」と「級」が違いますから。

 ――では、お2人の活躍を期待します!

 市村・中沢:ありがとうございました!

☆なかざわ・ひろな=1988年3月19日生まれ。東京支部の105期生。2009年11月の多摩川でデビュー。14年10月の大村で初優出(2着)。14年前期は過去最高の勝率4・76(B1級)。14年の獲得賞金額は944万5000円。身長164センチ。独身。血液型=O。

☆いちむら・さき=1987年2月21日生まれ。東京支部の103期。2008年11月の平和島でデビュー。12年12月の江戸川で初優出初V。通算2V。15年前期の勝率6・28(A2級)。14年の獲得賞金額は1435万3000円。夫は岡山支部・清水敦揮。身長154センチ。血液型=O。