ニューヒーローの誕生だ! V賞金1億円をかけて争われたボートレース平和島のSG「第29回グランプリ」(賞金王決定戦)は23日の最終日、12Rで優勝戦が行われ、茅原悠紀(27=岡山・99期)が6コースから差し抜けてSG初優勝。史上4人目となるグランプリ初出場でのVを決めた。これで賞金1億円に360万円相当のプラチナグランプリメダル、そして黄金のヘルメットを手に入れた。惜しくも2着に敗れた菊地孝平だが、年間獲得賞金トップを確定させた。人気の白井英治は3着だった。

 本番では3コースの太田がカドに引っ張り2対4の隊形。イン白井がSで後手に回り、太田がまくりにいくが、井口が抵抗し菊地のまくり差しが決まった――。と思いきや、わずかに白井と接触する間に、その内から差し抜けてきたのが緑のカポック・茅原だった。2Mを先頭で回り、一気に後続を突き放した。

 エンジンについては「伸びはよかったけど、出足もよくなって『展開を突ける足があるな』と思っていた」と仕上がりは十分。しかし「優勝までは正直、思ってなかった。ターンして一番前に立って『えーっ、ウソ!?』と思った。ただ、最後まで切れのある旋回をしようと心がけた」と振り返る。ウイニングランでは、多くのファンが手を振ってくれ「感謝の気持ちしかないです」と感極まった。

 35歳までに賞金王という目標を掲げ、今年は「タイトルを取ること」を目指し、一気にクリア。これには、結束が強い川崎智幸、平尾崇典ら岡山軍団の存在が大きい。さらに、新田雄史に峰竜太、桐生順平らと“ニュージェネレーション”を結成。「どのコースからでも勝てる新時代のレーサーになる」ことを掲げ、切磋琢磨する仲間にも巡り合えた。この日のレースはまさにニュージェネレーションを象徴した走りだった。

 ちなみにV賞金は「ランボルギーニですね。嫁さんと相談してから買う」と笑うが果たして…。

 次走は来年1月2日からの地元・児島正月開催に出場する。「いい形で戻っていい報告ができる」と凱旋レースに気合が入る。