【三国GⅠレディースチャンピオン:カウントダウンコラム(1)】今年から通称変更されたGⅠ「レディースチャンピオン」が8月5日、ボートレース三国で開幕。今回の直前企画では初出場の新興勢力を紹介する。第1回は29日に結婚式を挙げたばかりの絶好調レディース・市村沙樹(27=東京)だ。

 やはり持ってる人間は違う。結婚式を5日後に控えた宮島ヴィーナスシリーズ優勝戦、インの田口節子を2コースから差し切る大金星を挙げ、通算2度目の優勝を達成。最高の流れで29日に結婚式を開き、晴れやかにバージンロードを歩いた。

「気持ち的に盛り上がり、いい感じで三国に行けそうな気がします」

 これ以上ない最高の流れで大舞台を迎える。

 先輩レーサーでもある夫・清水敦揮との出会いがすべてを変えた。レーサーとしての根本姿勢を教わり、コツコツとペラを叩いてゲージを作る小さな努力の大切さ、エンジン出し、走り方、精神論に至るまで徹底的に叩き込まれた。清水は言う。「記念選手が普通にやっていることをやり、意識を変えるだけで勝率1点は上がる」。その言葉通り彼女は意識改革した。交際が始まった直後の12年12月の江戸川。清水も出場していた大会で見事に初V。その後も恐れを知らぬレーススタイルで成績を上昇させた。「レディースC出場を本気で目指す」と心に決め、とにかくイン戦での強さを身につけた。あるとき、インからスタートで遅れ、ファンに「インで遅れるならフライングの方がマシだ」と叱責された。この言葉が強く胸に突き刺さった。

「お客さんは大事なお金をかけている。もう絶対にインで遅れない!って決めました」

 ここ半年のイン1着率は63%、平均STは驚異のコンマ12。この数字が彼女の本気度を物語る。4月の江戸川でFを切り、事故率がかさんでレディースC出場に黄色信号がともったが、4月いっぱいを「無事故」で乗り切れば出場可能。そんな状況で迎えた平和島一般戦、抜群のエンジンを武器に準優1号艇を手にし、なんとコンマ01のトップSをブチ込んで逃げ切った(優勝戦は4着)。

「無事故なら当確って知ってましたが(スイッチが)入ってしまって…」

 強豪揃いの初舞台。しかし、この強心臓があれば怖いものはない。

☆いちむら・さき=1987年2月21日生まれ。東京支部の103期。2008年11月の平和島でデビュー。12年12月の江戸川で初優出初V。通算8優出2V。14年後期の勝率6・35(A2級)。13年の獲得賞金額は1362万5000円。身長154センチ。血液型=O。