ボートレース福岡のSG「第56回クラシック」(優勝賞金3900万円)は28日、第12Rで優勝戦が行われ、1号艇・石野貴之(38=大阪)が圧倒的な内容で逃げ切り快勝。自身9度目のSG制覇を果たした。

 夏日を記録した前日とは異なり、レース時の気温は20度足らず。加えて昼近くまで降り続いた雨の影響で湿度も変化。しかし石野のエンジン調整はプラン通りに進んだ。

「天気が変わるタイミングで試運転できた。いい状態で(レースが)できたと思う。バッチリと仕上がっていましたよ」
 プランと違っていたのは当日の石野自身の精神状態だった。

「(選手になってから)ここまで緊張したことはなかった。不安からくる緊張です。自分の今の状況、レースぶりは分かっていますから…。正直、自信はなかった」
 新期適用(今年7月~)勝率は6点を大きく割り込む水準で、過去にないほどのスランプに陥っている石野。しかし今回は優勝戦1号艇をゲット。脅威となる相手は準優で姿を消し、機力的には他を圧倒していた。

「寺田(祥)さんとか前本(泰和)さんとかを除けば、飛び抜けた足だと思っていた。今回はたまたまエンジンに助けられただけです。原因も全然改善できていない。これからの課題だと思う」

 スランプの原因については「(スタートも)その一部ではある。自分の中で明確に分かっていることです。そしてそれは自分にしか直せない。ここで言うことではないと思う」と明言を避けたが、この勝利が暗雲をわずかでも払うことになったのは間違いない。

「これまでの中でも印象に残る優勝になった。今の状況で大きなことは言えないけど、目の前の1走に集中して自分が直面する問題を解決したい」

 この後は若松オールスターが控え、児島グラチャンの出場権も獲得済み。スランプを克服できれば、優出会見で冗談交じりに話した「年末(のグランプリ)にA2で出場したい(笑い)」という思いが現実になるかもしれない。