
【ルーキー通信簿~若手注目レーサーの「将来性」を先取り診断!~】
◇安河内健(25)佐賀支部122期
峰竜太門下の新星が1月からA2級にスピード出世。「デビューして3年以内にA級」という目標はクリアしたが、大胆でスター性あふれるレースぶりはA2で終わる器ではない。「A1を目指して!」走り続ける安河内の通信簿は――。
デビュー2節目の水神祭は6コースから0・01秒のスタートを決めて一気に突き抜けた。「あれで勘違いして、大外からスタートをいけば勝てると思って…」と調子に乗った結果が、次節・大村ボートで0・05秒のフライング(即日帰郷のペナルティー)につながった。「その後は事故パンでレースになりませんでした」と痛い目に遭ったが、スタートのやり方を見直すきっかけにもなった。
「スタートの目標物は看板(200メートル、150メートル、100メートル、85メートル、45メートル、5メートルの標識)だけにしました。看板は空中線と違って動きませんから。その上で景色ごと、写真のように記憶するんです。この方法にしてからスタート力がついたと思います」
失敗を糧にスタート力(平均スタートタイミング0・14秒)をモノにするのだから、やはり並の新人ではなかった。
デビュー2期目に、6コース一本からダッシュ水域へ、3期目からはスロー水域も解禁したが、節目、節目では師匠からアドバイスをもらった。
「自分がダッシュだからといって前づけは入れるな! スローならコースを主張しろ! 主張した上で勝率を取ってこい!スタートは遅れるな!」
新人に対し、星一徹ばりの厳しいアドバイス。しかし、教えを守って着実に成長するのだから、安河内のポテンシャルも相当なものだ。それが証拠に今年9月の戸田で初Vを経験。インから0・05秒のスタートを決めての逃走劇は、もちろん「全速です!」。鍛えに鍛えたS力が生きた。
「優勝して、峰さんから『おめでとう』と言われました。でも、おほめの言葉はなし(笑い)。『むしろ、ここからが本番だ。みんなが注目する中で、優勝がまぐれじゃないことを証明する必要がある。だから、早く2度目の優勝をしろ!』と言われています」
無論、安河内自身もそのつもりだ。「基本は回り足から行き足へのつながりを重視」というこだわりの仕上げで、峰を筆頭に山田康二、上野真之介といった峰一家が誇るSGクラスの面々と同じ舞台で競い合う日を夢見て、奮走は続く。
【師匠・峰竜太の評価】
優勝してもほめなかったのは、まだほめるレベルじゃないから。でも、ここ最近は伸びてきているし、来年が勝負でしょう。来年中に一気にA1に上がるようなら、見込みがあると思います。
【総合評価】
峰が辛口なのも〝このレベルで満足する選手ではない〟という期待の表れ。将来性=☆☆☆☆☆
☆やすこうち・けん 1995年8月12日生まれ。佐賀県出身。2018年5月1日、からつボートでデビュー。2節目の徳山ボートで水神祭をあげる。今年9月にボー戸田ボートで初優勝達成。来年1月からは畑田汰一とともに122期では最速でA2に昇級する。111期の安河内将は実兄。
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