【ルーキー通信簿:新開航(24=福岡118期)】初勝利がデビューから4走目で初優勝は1年9か月目。A1昇格も8期目というスピード出世だ。今年2月には、からつ・九州地区選でGⅠ初出場を果たすなど戦うステージも一段アップした。

 師匠はいないが福岡支部のグループ「筑豊軍団」に所属。そのリーダー格の瓜生正義に教えを乞うことが多い。その瓜生は「お盆レースで一緒になった時に“ボートが好きそう”な気がした。好きなものは吸収するのも早くなりますからね」と評価する。

 まさに順風満帆なレーサー人生だが自身は「ウ~ン、どうなんでしょうね」と首をかしげる。

 その理由は最近の勝率に表れている。A1初昇格となった2020年前期の勝率は6・30。同後期は6・26、そして来年1月から適用される21年前期勝率も6・25前後と横ばい状態が続いている。「自分の中でも、何か最近はパッとしないという感じなんですよね。内枠に入ることも多くなってきたけど以前のように外枠から攻めていた方がパンチがあったような気がします」と苦笑する。

 デビュー直後は外枠で腕を磨き、経験を積んでから内枠でレースをする。誰もが経験する過程だが、ここで一つの壁に直面しているのだ。

 瓜生も「課題だらけですよ。その課題もどこまでを目指しているのか、で変わってくる。SG常連の選手になりたいのなら、課題はいっぱいでしょう。気持ちの面も技術(整備、調整)面もですね。そのためにはいろいろ経験をしなければいけない。そこで感性が磨かれますから」と、あえて厳しい言葉を投げかける。

 ただ、停滞状態とはいえA1級をキープ。ここを克服すればトップレーサーへの道を切り開くこともできるだろう。新開は「今年からGⅠにも出してもらえるようになってきた。その経験はすごく刺激になるし、やっぱり勉強になることが多い」と、より高いステージで壁を打ち破るきっかけを模索。その中で「記念の出場機会が増えれば瓜生さんと一緒になることも多くなる。今は電話とかでアドバイスをもらうことも多いけど、直接、教えてもらいたいこともたくさんあるし、その方が吸収できるものが多いはず」と“師匠”との直接対決をモチベーションにしている。

 そして瓜生も「できればSGとかで一緒のレースを走りたい。僕の力が落ちてくる前にね(笑い)」と最高峰の舞台での一日も早い共演を心待ちにしている。

☆しんかい・わたる=1996年2月12日生まれ。福岡支部所属の118期生。福岡県出身。2016年5月の芦屋でデビューすると4走目で初勝利。18年1月の芦屋で初優勝。今年2月のからつ・九州地区選でGⅠ初出場。通算3V。同期には吉川貴仁、栗城匠、板橋侑我、宮之原輝紀、関野文ら。身長=165センチ、血液型=A。