【桐生GⅠ新鋭王座決定戦】スタートのトラウマ克服した佐藤翼

2013年09月13日 12時51分

【桐生GⅠ新鋭王座決定戦(18日開幕):カウントダウンコラム(1)】今年で最後の大会となるGⅠ「新鋭王座決定戦」が18日、ボートレース桐生で開幕する。参加メンバー全員がラストチャンスとなる大会だ。注目選手ピックアップ第1弾は前回大会で優勝戦1号艇でフライングに散った佐藤翼(25=埼玉・105期)だ。

 あの悪夢はいまだ脳裏から離れない。昨年の徳山GⅠ「新鋭王座決定戦」の優勝戦、断然V候補の茅原悠紀を2号艇に従えて、佐藤はポールポジションに座った。だが、GⅠ初出場の若者が背負った重圧はあまりに大きかった。「どうしても勝ちたい」という気持ちが先走り、コンマ07のフライング――。ピットで号泣する姿を多くの関係者が目撃した。

 あれから1年、当初は「フラッシュバックする」と言っていたスタートのトラウマを現在は克服している。

「スタートが行けない、優勝戦でFを切れないという状況の中で、ちょっとSが遅れても着が取れる自分に気付いたんです。それで、スタート勝負をしなくなりました」

 7月の芦屋で2度目のV。我慢のレースをしながら優勝できたことは大きな自信となり、完全に吹っ切れた。

 あの大事故が与えてくれたものは「経験です」と言い切る佐藤。絶望のふちから這い上がる中で、多くの人間の支えがあったのも事実だ。

 悪夢の後、打ち上げ不参加を決めて家路に就く彼に師匠・滝沢芳行は「行かなきゃだめだ」と叱咤。その打ち上げ会場では優勝した茅原が真っ先に駆け寄って「申し訳ない」と優勝戦1号艇という大役を後輩に押しつけたことをわびた。母親には「人にはできない経験」と励まされ、当時付き合っていた彼女にも「何でそんなことで悩んでるの?」と尻を叩かれた。

 7月下旬、その彼女と婚約。今大会の後、入籍することになっている。

「王座で優勝して『結婚します』って言ってやろうかなって思います」

 それが現実となればリベンジは完結する。

☆さとう・つばさ=1988年9月10日生まれ。埼玉支部の105期。2009年11月の戸田でデビュー。12年8月の蒲郡で初優勝。GⅠ初出場となった同年9月の徳山「新鋭王座決定戦」で優出F。13年後期の勝率6・26(A1級)。身長167センチ。血液型=B。