「F休み中にバイト」の屈辱忘れない

2012年06月13日 12時00分

 ボートレースの新鋭世代で今、最も猛威を振るっているのが100期生だ。先月の浜名湖「笹川賞」では桐生順平がSG初優出。女子でも平高奈菜が昨年度の最優秀新人賞を獲得するなど躍進目覚ましい。そんな同期生の奮闘の裏で多くの選手が「追いつけ追い越せ」を合言葉に数年後の大舞台への飛躍を誓っている。今はまだ〝無名〟でも、必ずや化けるであろう有望新人・萩原知哉(25=茨城・100期)のデビュー6年目の「葛藤」に迫った。

 同期に大きく後れを取っている原因ははっきりしている。これまでF2を2回。気持ちばかりが先走って勇み足が続き、事故点過多で無理できない状況に追い込まれる悪循環に陥ってきたのだ。

 選手になってほとんど〝いい思い〟をしたことはない。同期の活躍を横目で見ながら「一日に1万円を稼ぐのがどんなに大変か…」。


 世間の厳しさを知ったのも、F休み中にガソリンスタンドでアルバイトした時だった。あの時の屈辱を決して無駄にはしない。


 そう心に秘めてデビュー6年目を迎えている。

 茨城・水戸商業高ではサッカー部に所属し、3年時にはインターハイにも出場した(1回戦で敗退)。ダンプの運転手をしていた父の勧めもあり、ボートに関心を持つようになり、3回目の受験で合格、今に至る。

「大ざっぱでもっと繊細さが必要」。自己分析は的確。この短所が、上を行く同期との違いであることも感じるようになった。

「訓練生時代から松尾は何でも先頭に立ってみんなを引っ張ってきた。(平高)奈菜ちゃんは転覆や事故が多かったけど、とにかく負けず嫌いでがむしゃらにやっていた。今思うとみな訓練生時代から考えてやってたけど、自分は失敗してから考えるタイプでした」

 一つひとつの行動に目的意識を植え付ける。当たり前のことを頭に叩き込み「今はレースでも進入に関しても先を考えて動くようにしている」。出世を妨げているFの原因を探れば、エンジンが出ていないのをカバーしようと無理してS行って、のケースが多かった。

 好きな言葉がある。「やってやれないことはない。やらずしてできるわけはない」。まだA級昇格も優出経験もない。しかしこの思いを持ち続ける限り、逸材揃いの100期生の〝仲間入り〟を果たす日がくるはずだ。

 憧れのスポーツ選手はかつてサッカー日本代表の経験もある中山雅史。「最後まで絶対に諦めない姿勢を僕もレースでファンにお見せしたい!」

☆はぎわら・ともや=1986年8月28日生まれの25歳。茨城県立水戸商業高卒。茨城県在住。2007年5月多摩川でデビュー。同年12月に初勝利を飾る。まだ優出歴はない。同期には桐生順平、松尾昂明らがいる。趣味はサッカー、フットサル。身長163センチ、体重54キロ。血液型=O。6月14日から多摩川・新鋭リーグ第12戦に出場予定。