【平和島プレミアムGI「第1回BBCトーナメント」カウントダウンコラム=乾坤一擲(1)】SGチャレンジCが熱戦を展開中だが、28日からは新設されたプレミアムGⅠ「第1回BBCトーナメント」がボートレース平和島で開幕する。各ステージ3着以上しか勝ち上がれないガチンコバトルを制するのは誰か――。直前カウントダウンコラムは「乾坤一擲」と題し“一発勝負”にかけるレーサーをピックアップ。第1回は磯部誠(29=愛知・105期)。

 来期(2020年前期)適用の3連対率81・6%、2連対率68・8%、V数6回はいずれも今節出場メンバー中トップの数字だ。「ただ単に一般戦が多かっただけ。そんな成績は気にしてないし、価値はないですよ」と本人は意に介していないが、3着以内の勝ち上がり方式を加味すれば、最も“お買い得レーサー”と思わせるデータだ。

 この3連対率の高さはレーススタイルにも起因している。

 典型的な差し屋で無理に攻めるよりは堅実さばきでまとめるタイプ。さらに舞台となる平和島は差し屋向きの水面で「初めて1着を取った水面だし、変なイメージはない。自分の立場やポリシーに見合ったレースをしてしっかり稼ぎたい」と意気込んでいる。

 9月の浜名湖でGⅡ初制覇。直前の蒲郡GⅠでも優出(3着)とリズムも確実に上向きで「GⅠやSGは簡単に取れるものじゃないのはわかっている。もっと場数を踏んでいかないとね。勝負事には流れが重要。結構、自分ではしっかり分析してるんですよ」と不敵な笑みを浮かべる。

 豪放磊落なイメージもあるが、平本真之ら周囲の声を拾うと探求心と分析力にたけた繊細な一面も浮かび上がってくる。展開の読みの鋭さは愛知支部の先輩が一目置くほどだ。トーナメント方式の一発勝負なら、その展開の読みも間違いなく大きな武器となるはずだ。

 欲しいのはやはりGⅠの勲章。胸の内には揺るぎない信念を持ち続けている。「やっぱり僕らは賞金をどれだけ稼いだかが大事! 勝率よりも賞金。そっちの方が重要」と断言する。

 今年は丸野一樹、永井彪也ら後輩が次々にGⅠタイトルを獲得。特に意識するのは木下翔太だ。「丸野や彪也より木下の方が稼いでますからね。それはホントにすごいことだと思う。たとえ、僕が勝率を10点持っていたとしても、それより稼いでいる木下の方が偉い」と言い切る。

 SG、GⅠの出場機会も着実に増えた。「ここ一番での思い切りの良さが足りない」と課題を挙げたが、その一方でしっかりと力をつけているのも事実だ。
「もちろん出るからには優勝を狙いますよ」とニヤリ笑った。

☆いそべ・まこと=1990年9月8日生まれ。愛知支部の105期生。2009年11月のとこなめでデビュー。翌年4月の平和島で初白星。13年の蒲郡で初優勝。今年9月の浜名湖MB大賞でGⅡタイトルを獲得した。通算19V。師匠は平本真之。池田浩二にも師事をしている。同期は佐藤翼、中嶋健一郎、村岡賢人、塩崎桐加ら。身長172センチ、血液型=A。

 ※次回掲載は深川真二