【ボートレース児島・SG第66回ボートレースダービー:カウントダウンコラム「虎視眈々」(1)】最も歴史あるSG「第66回ダービー」が22日にボートレース児島で幕を開ける。直前カウントダウン連載では「虎視眈々」と題してダービー出場を狙い、悲願の初出場を決めた選手にスポットを当てた。トップバッターはSG常連ながら意外にもダービー初参戦という重成一人だ。

 職業は俳優?と聞かれてもおかしくない二枚目で、舟足を語らせれば作家顔負けのボキャブラリーに絶妙の比喩を織り交ぜ立て板に水。ルックスと頭の回転の速さは令和の時代にピタリとハマるスマートなレーサー、というのが重成一人のイメージ。ところがどっこい、彼のボート観は“頑固な昭和の職人”そのものであった――。

 SGに71回出場して7優出。「グランプリ」も2度経験しているトップレーサー・重成が「ダービー」には初出場とは驚きだ。これを本人は「うれしい。全部のSGに出たかったんで」と手放しで喜ぶ。一方で「7・15(選考勝率)じゃ威張れない(例年は7・20以上必要)。今年はラッキーでした」と照れくさそう。ともあれ「ダービー」出場は1年間の勝率勝負。41歳にして初出場(2012年は勝率をクリアしながら7月の「オーシャンC」準優Fで除外)ということは、レーサーとして進化中なのか。

「進化はしていないな~。進化というよりキープ、でしょうね」

 デビュー2期目に5点勝率を叩き出し、3期目にはA2に昇級した天才肌ならではの、冷静な視線が自己を分析する。そして、SG常連でありながらダービー常連ではない理由は、こだわりの調整にあった。

「ボクはとにかくターン足を重視する。そこの調整には自信もあるし、気に入るまで徹底的にターン足を求める。伸びを落としてでも? もちろんです!」
 伸び型のエンジンを引いた時には伸びを生かすレースをした方が有利だし、回り足で勝負するなら前づけ多用のイン型選手になる方が勝率を稼げる。

 重成のセンスなら可能なはずだが「これがボクのキャラだと思ってください(笑い)」と、目先の勝率には目もくれず“回り足マニア”に徹する。それが今まで「ダービー」と縁がなかった要因だろう。

 今年の舞台となる児島は「満潮になると乗りにくい水面」だと言う。ただし、それはほとんどの選手が同じ。逆に究極の“回り足(&乗り心地)マニア”が真価を発揮するチャンスでもある。コース不問の華麗なターンが縦横無尽に水面を舞うシーンに期待しよう。

☆しげなり・かずひと 1978年9月12日生まれ。香川支部の80期生。97年5月、まるがめ一般戦でデビュー。2000年3月、若松一般戦で初優勝。GⅠは04年6月の福岡51周年記念での初優勝を皮切りに6V。SGは09年の多摩川「クラシック」の初優出以来7優出を数える。通算Vは51回。同期には白井英治、平田忠則、香川素子ら。身長168センチ。血液型=A。