【今が旬〜このレーサーに乗れ〜】今、勢いに乗っているレーサーを紹介する大好評企画「今が“旬”~このレーサーに乗れ!~」――。今回は6月、地元まるがめのGⅢ「第6回ウエスタンヤング」で念願のデビュー初優勝を飾った中村晃朋(27=香川・111期)だ。師匠・重成一人、妹・桃佳への思いを語った。

 6月、地元開催のGⅢウエスタンヤングで待ちに待った歓喜の瞬間が訪れた。優勝戦は「ここで勝負をかけないと」と3カドから渾身のまくり差しを決めて、うれしい初Vを手にした。デビューから6年7か月、実に22回目の優出でつかみ取った栄冠だった。

 そのレーサー人生には欠かせない2人がいる。妹・桃佳と師匠・重成だ。桃佳は晃朋の1年6か月後の2014年5月にデビューすると1年9か月目の16年1月に初V。18年3月にはGⅡレディースオールスターで優勝するなど6V。17年5月の福岡オールスターではSG初出場も果たし、女子主力レーサーの一人となった。成績では妹に先を越される形になったが、晃朋は「妹の活躍には、ねたみ、そねみは一切ないですよ。家族だから“うれしい”としか…」という。ただ時折「ちょっと情けない…」とポツリとつぶやくこともあった。やはり妹の活躍も原動力となっていた。

“強くなりたい”という兄を導いたのが師匠の重成だ。妹の活躍が目立つ一方で晃朋も着実に力をつけて19年前期に念願のA1昇格を決めた。しかし、ここで大きな壁にぶち当たる。「記念を走って自分の力のなさを痛感させられた。特にメンタル面で弱すぎた」とトップレーサーとの“差”をまざまざと見せつけられたのだ。ハイレベルな戦いの中で勝率を落として、わずか1期でA2に逆戻りとなった。

 それでも落ち込んでばかりはいられない。以前に師匠から突きつけられた言葉を思い出す。

「原点に返れ!」――。それからは師匠のレースを漏らさず見ることから始まり、先輩、後輩に限らず助言をもらい、貪欲に吸収しようとした。ここでメンタル面も鍛えられ「昔はエンジンが出てないときはバタバタだったけど、今は落ち着いて対処できるようになった」と振り返る。27日現在、20年前期の適用勝率は6・50を超えておりA1復帰が十分視野に入っている。最初のA1生活は半年で終わったが、その反省をしっかりと生かしているのは今後に向けても大きな意味を持つだろう。

 GⅢで優勝したことで師匠にわずかながら近づいた。次なる目標は「師匠と一緒にSGの舞台に立つこと」。成長スピードも一気に加速しそうだ。

☆なかむら・あきとも=1991年11月3日生まれ。香川支部の111期生。2012年11月まるがめでデビュー。翌13年9月のからつで初勝利。初優出は14年11月平和島。今年6月まるがめGⅢウエスタンヤングで初優勝。同期は堀本和也、安河内将、高倉和士、竹井貴史、木村仁紀、大豆生田蒼ら。身長168センチ。血液型=A。