【ボートレース多摩川SG「第29回グランドチャンピオン」18日開幕=カウントダウンコラム「気炎万丈」④】18日に開幕するボートレース多摩川のSG「第29回グランドチャンピオン」――。多摩川水面に“思い入れ”があるレーサーをクローズアップした直前連載「気炎万丈」最終回は当地でデビュー初優勝を飾った柳沢一(38=愛知・86期)。

 2000年5月のデビューから2年4か月後の02年9月に多摩川で初めて優勝の“味”を知った。「覚えてますよ。初めてだったし、うれしかったですからね」。5号艇で道中の競り合いを制して1着ゴール。決まり手は「抜き」だった。以来、17年間で積み重ねた優勝数は49。GⅠも15年11月の蒲郡60周年記念など4V。コンスタントにSGにも出場する一流レーサーの一人となった。

 今回はその“思い出の地”で「SGの中のSG」と言われるグランドチャンピオンでSG初制覇に挑む。「悪くはないけど特別にいいイメージということもないですね。ただ成績を見ると相性はいいんでしょうね」と言うように、最近5年間で5節出場して3優出1Vと結果を残している。

 そして、何よりも心強いのはレーサーとして、もう一段階、ステップアップする手応えをつかんだことだ。14年後期以降は常に勝率7点前後をキープ。17年後期には自己最高となる7・68、18年後期も7・67。SGも18年は6大会に出場し、まるがめメモリアルでは自身2度目の優出(5着)も果たした。年々、成績も右肩上がりで順調に思えたが、自身では戦うレベルが上がってきたことで「課題」も浮上した。

「これまではあまり伸びにはこだわらず出足を中心に仕上げていた。でも、上のレベルで戦うためには伸びもつけていかないと戦えないのでは…」と感じ始めていた。そこで「もっと上にいくために新しい方向性を探ることにした」と調整スタイル変更を決断したのだ。

 ハイレベルで戦う中での新しい挑戦は苦戦を強いられた。19年後期適用勝率は6・49に落ち込んだ。6点台前半の勝率は14年前期以来11期ぶりのことだった。それでもステップアップするためには、ここを乗り越えなければならない。粘り強く試行錯誤を繰り返しながら明るい兆しをつかんだ。

「最近まで調子は悪かったんですよ。でも5月末の児島でいい感触をつかめました」と笑顔で明かす。この児島では一般戦とはいえ2日目から7連勝で優勝。続く桐生GⅠ63周年記念でも予選こそ突破できなかったが仕上がりにはまずまずの手応えをつかみ節間3勝を挙げた。「一時期、成績を落としてしまいましたけど、今後につながると思います」。胸を張って多摩川に乗り込んでくる。

☆やなぎさわ・はじめ=1981年4月6日生まれ。愛知支部の86期生。初出走は2000年5月の蒲郡。同年6月の平和島で初勝利。02年9月の多摩川で初優勝。07年11月の江戸川MB大賞でGⅠ初V。通算49V(GⅠ4V)。同期は吉田俊彦、萩原秀人、市橋卓士、森永淳、中野次郎、金田幸子ら。身長165センチ。血液型=AB。