【宮島ボート・マスターズチャンピオン】レジェンド今村豊を“戦場”に駆り立てるもの

2019年04月11日 14時00分

今村豊

【宮島ボート「マスターズチャンピオン」カウントダウンコラム・威風堂々!(1)】プレミアムGⅠ「第20回マスターズチャンピオン」が16日、ボートレース宮島でいよいよ開幕する。恒例のカウントダウン企画「威風堂々!」では大会V経験があるレーサーに注目。トップバッターは10回目の出場で前人未到のV4を目指す“レジェンド”今村豊だ。その胸の内に肉薄した。

 昨年から年齢制限が45歳以上に変更。ボーダー勝率がはね上がった。初出場は実に29人。豪華メンバーで勢力図の激変も予想されたが、優勝戦の1号艇に座ったのはやはりこの男だった。

「3歳若返ったといっても45でしょ。みんな年寄りですから(笑い)」と豪快に笑い飛ばす。とはいえ自身は年を重ねる一方で、どんどん下の世代が参入してくる。年々、苦しい立場になっていくという事実を否定することはできない。この現状をどう受け止めるのか。レジェンドは「しがみつく」と表現した。

「高いレベルの走りを続けるには、高いレベルのレースに出続けなければならない。記念で走らなくなったら? 一気に落ちていきますよ。間違いない。大きいレースに呼んでもらえているからギリギリしがみついていられるんです」

 想像を絶するプレッシャーと向き合いながらも、今村を戦いの場に駆り立てるものは何なのか。長い間、艇界をけん引してきたというプライドか、それとも長年にわたって積み重ねてきた記録か。

「プライドなんてないよ(笑い)。記録でもない。例えば北原(友次)さん(通算3417勝)を抜くなんて絶対にムリ。あえて言うなら“励み”ですね。若い人、トップレベルの人と走れることを励みにやっている。自分としては長くやろうみたいなのはないんです。いつ踏ん切りをつけるか。それは明日かもしれない」

 残された時間が決して長くないことは本人が一番知っている。衰えは自覚しつつも、そこは希代の勝負師。簡単に譲るつもりはない。

「もちろん、若い頃ならここに入れたなとか思うことはありますよ。でもそれは若いからできるんであって、今は突っ込んでいくなんて無謀でしかない。この年になってケガしたくないしね。自分にあるのは知識と経験。今はそれを生かして、いかに楽していい着を取るか。こればっかり考えていますよ(笑い)」

 不利な体力面であらがうつもりはない。その代わりに1981年のデビュー以来38年間、積み重ねてきた経験がある。

 舞台は記念V歴のある宮島。レースは「年の近い選手がいるのは気持ち的に楽」と話すマスターズC。リラックスして臨むレジェンドが虎視眈々とVを狙う。

☆いまむら・ゆたか=1961年6月22日生まれ。山口支部の48期生。1982年4月の蒲郡で初優勝。同年7月のまるがめ30周年記念でGⅠ初V。84年4月の浜名湖オールスターでSG初V。通算優勝回数139(GⅠ・48V、SG・7V)。生涯獲得賞金は約28億9000万円。昨年12月に通算2800勝を達成。同期に鵜飼菜穂子がいる。身長162センチ。血液型=A。