【SGグランプリ&GIクイーンズC:カウントダウンコラム(5)選手紹介】

【GP14位=浜野谷憲吾(45)東京・70期】「久しぶりだから緊張しないように頑張ります」――。“東京のファンタジスタ”が8年ぶりにグランプリに戻ってくる。出場回数は今メンバー中、最多の12回目。02~08年は7年連続出場とかつてはGP常連だった。だが、ここ数年はF禍に加え、成績も下降線で大舞台から遠ざかっていた。

 しかし、今年は6月にまるがめGI66周年記念を制すと10月にはGⅠ第46回高松宮記念(住之江)も勝ってGⅠ・2V。東都のエースが復権を果たした。「別に何も変えてないよ。去年より少し痩せたくらいかな。でも、何も変えてないからこそ、流れというのが大事なんだろうね」と分析。

 45歳の彼にとって、覇を競うのは自分よりも若いレーサーばかりだが賞金順で見れば立場は挑戦者。それでも「前検日に乗りやすかったら、やれる自信はある」とキッパリ。グランプリは過去2度、優勝戦1号艇で敗れているが、悲願の戴冠に向けて全身全霊で挑む。

【GP13位=赤岩善生(42)愛知・82期】今年は1月の若松一般戦Vで好スタートを切ると5月蒲郡タイトル戦までに5Vの荒稼ぎ。GⅠ戦線では5月の宮島64周年、7月三国GⅡ・MB大賞を制し、SG戦線でもオーシャンC以外6シリーズに参戦。直前のチャレンジCでも優出5着と存在感を示し、高いレベルで1年間を戦ってきたのは評価できる。

 激闘の11か月を振り返り「毎年いつも通りやることをやっているだけ」と淡々と振り返った赤岩だが、もちろん年末の大一番に向けて気持ちはさらに高まっている。「選手としてはそこ(グランプリ出場)を意識してやっている。(決まって)ちょっとうれしい」と喜びをかみ締めた。

 意外にもグランプリは9年ぶりの参戦となるが「別に長いとは感じてないが、いつも気持ちは新人のままで20年たっても変わらない」と自然体。前回GP当時とは成熟度合いが違う。初の頂点を目指して“魂の走り”を貫く。

【QC10位=竹井奈美(29)福岡・104期】昨年はFの影響などもあってA2陥落の憂き目に遭ったが、今年はその憂さを晴らすような大活躍。その中で彼女自身が一貫して意識してきたのが「苦手意識を克服したい」というもの。

 今年は3度の優勝があるが、その点で言えば7月の尼崎でのヴィーナスシリーズVが大きな転機となったに違いない。15年ヤングダービーのFなどトラブルの多かった尼崎は「あまり好きではない」という水面。しかし、それを懸命の整備と冷静なハンドルさばきで克服。「好きな水面にできた」と壁を乗り越えた。

 その延長として叩き出した勝率は7.21(19年前期)という自己最高。そして、最高の一年を締めくくるべく、大一番クイーンズクライマックスへと臨む。「狭い水面が苦手なので平和島も得意とは言えない。エンジン次第となってしまいそう」とは言うものの、ここまで培ってきたのは逆境をはね返す力。初のGI制覇へ――機は熟した。 (吉田竜作)

※次回掲載はGP12位・石野貴之、GP11位・桐生順平、QC9位・寺田千恵