鳴門うずしお大使・楠本亜衣莉さん「大谷焼」汗まみれリポート

2018年09月29日 15時00分

歴史を感じさせる窯元で作陶に挑戦した楠本さん

【ボートレース鳴門・GⅠ「大渦大賞 開設65周年記念競走」(10月1日開幕):レースの後は大谷焼に挑戦しよう!】鳴門市は陶芸の里でもある。約240年前の江戸時代後期に生まれ、徳島を代表する陶器として焼き物ファンのハートをわしづかみにする大谷焼は、2003年に国の伝統的工芸品に指定された。ならば、行くしかない。ロクロ回しに挑むのは、阿波美人の鳴門うずしお大使・楠本亜衣莉さん。汗と土にまみれた悲喜こもごもの奮闘ドラマを完全リポートする。

 鳴門の市街地から車を走らせること約30分。小高い山の中腹に現れたのが、地元に6軒しか残っていない窯元の一つ「佳実窯(よしみがま)」だ。「やあ、いらっしゃい」。温かく迎えてくれた三代目の主人・瀧野佳宏さんは、うずしお大使に作陶の手ほどきをしてくれる名職人。大使は「作陶の経験は小学生の時の社会見学で一度あるだけなんです」と緊張を隠せないが、今さら逃げ出すわけにもいかない。「徳島名産のすだちを搾ったすだち酎を飲む時のぐい飲みと、サツマイモのなると金時をのせるお皿。この2つを作ります」。大使の挑戦が始まった。

 まずは〈土練り〉だ。大谷の土は鉄分が多くザラリとしており、これをもみ込んで軟らかくしなければならない。この荒もみは通常なら2〜3分で終わるのだが、そこは非力な大使。土が硬そうでなかなかもみ込めない。「もっと体重をかけて!」「前に押し出すように!」。巨匠のアドバイスを受けるうちに、ようやく土が軟らかくなじむようになった。

 次は〈菊もみ〉。両手のひらを使って土を押し、中の空気を抜きながらもむ作業で、同じくグイッと体重をかけて繰り返しもんでいく。荒もみでコツをつかんだ大使は、意外にスムーズに課題を終えた。そして…。

 待ちに待った〈土殺し〉の工程だ。これは菊もみを終えた土を電動ロクロにのせ、回転させて成形していく作陶のハイライトだが、素人には至難極まる。何しろ足を使って電動ロクロの回転に強弱をつけながら、土に水をつけて回さなければならないのだ。

最後の窯入れをする楠本さん。巨匠(左)も満足そうだ

 やはりと言うべきか。何度トライしても左右のバランスが取れず、土がグシャッと崩れ落ちる。「見ていたら簡単そうだけど、実際にやってみるととても難しくて…」。今にも泣きだしそうな大使に、巨匠が土を盛り直して再挑戦させる。そして土まみれになった手で格闘すること30分。ようやくぐい飲みと皿の成形が出来上がった。

 その後のロクロから土を切り離す〈糸切り〉でもかなり苦戦したが、4回目のチャレンジで何とか成功。ここで初めて笑顔を見せた大使の作品について、巨匠は「鳴門海峡の渦潮のような、勢いのある陶器になりそうだね」と太鼓判。ひょっとして名陶の仲間入りか。

 仕上げは素焼き→本焼きの〈窯入れ〉と、素焼きの直後に塗るうわぐすりの〈釉薬(ゆうやく)〉。ぐい飲みの釉薬には、採取した場所が徳島名産レンコン畑という珍しい土を使ったグレー色、皿にはなると金時をイメージした赤い辰砂(しんしゃ)を選び、女性らしいセンスを発揮した。

 窯に入れて焼き上がるまで1か月半から2か月。苦労して作陶したオリジナル大谷焼が、待ち遠しくて仕方がない様子の大使は「瀧野さんにたくさんフォローしていただきましたが、とても楽しかったです。11月10日(土)と11日(日)に、鳴門市内の種蒔大師東林院で『第44回大谷焼窯まつり』が開催されます。イベントが盛りだくさんでロクロ体験もあります。ぜひお越しください」と笑顔満開だった。

【佳実窯】徳島県鳴門市大麻町大谷字東山谷45。電話088・689・0172。作陶の体験料金は完成品に絵を描く絵付けコースが600円から。土練りから作る電動ロクロコースが2000円から。営業時間は午前9時〜午後6時。年中無休。

☆くすもと・あいり=身長165センチメートル。鳴門市の観光をPRする第30期鳴門うずしお大使を務める。「鳴門生まれなので鳴門が大好きです。鳴門のPRに精一杯頑張ります!」