9月のプレミアムGIヤングダービー(浜名湖)の最終TR・GⅢ「イースタン&ウエスタンヤング」が28日から津と下関の両レース場で同時開催される。本紙では6月の火曜に4回連続で直前情報をお届けしている。第2回の今回は注目の初出場選手2人を紹介する。

<津GIIIイースタンヤング>抜群の運動神経から繰り出される鋭いターンと高い調整力から、同支部の先輩・毒島誠の再来とも称されるのが関浩哉(23=群馬)だ。今期(2018年前期)からA2級に昇格し、その後も勝率は右肩上がり。関東期待のホープに注目だ。

 今回がイースタンヤング初出場。だが「いつものレースに臨む気持ちで準優、優勝戦と進みたいです。メンバーは強力ですけど、優勝すればヤングダービーにも出られますし、そこは意識しています」と、V争いに加わるつもりで臨む。

 この強気な姿勢には根拠がある。A2級昇格以降、GⅡなどでトップ級との対戦が増えたが「自分の中では“やれる”という感触はあります」と言い切る。「一般戦と同じような結果は出せていますし、もちろん課題もありますけど、大きな力の差を感じることはないです」と自ら成長を感じ取っているからだ。

 直近の目標は「今回(19年前期適用勝率)で絶対にA1に上がって、定着しないとダメだと思っています。そしてGⅠ、SGで活躍して、名前を売りたい」。その上で、身近な存在が発奮材料となっている。「同期で年も同じの仲谷颯仁の活躍は刺激になっています。羽野(直樹)選手も含めて近い世代が活躍しているので、自分もその流れに乗っていきたい」。自分より一歩先を行く同世代たちに追いつき、追い越すためにも目標はクリアしなくてはならない。

「今回は椎名(豊)さんを含めて群馬勢4人で出られるので、そこは心強いです。津は走りやすいですし、相性はいいと思っています」と、その実力を発揮できる環境も整った。群馬の若き逸材が“全国デビュー”を果たす瞬間はもうすぐだ。

<下関GIIIウエスタンヤング>20代の若手世代では最も層が厚い福岡支部から遅咲きの苦労人が初参戦だ。7月から初のA1。「誰よりも真面目に頑張ってしがみついていきたい」と熱く語る河野真也(29=福岡)の胸中に迫った。 

 念願のA1昇格まで10年。これまではFが多く、F後に成績が急降下するというパターンが多かったが「考え方を変えて、1本持ちでも慌てず自分のペースを貫くことで勝率を落とさないようになった」と胸を張る。

 考え方を変えたとは――。

「なぜ負けたのか。なぜSで遅れたのか。そこを深く追求することが大事で選手としての差が出ることを痛感した」。篠崎兄弟や同期の前田将太らお手本には事欠かない。

「前田クンとはエンジンの話は一切しない。レースに行く姿勢を聞いて、それを生かせたのが今につながっていますね。結局、この仕事はメンタルが一番ですから」という。心理面を強化して意識改革したことがS力アップにもつながった。これまで平均STコンマ17だったのが今期はコンマ13まで急上昇と大きな収穫を得た。

 大舞台の経験は2013年の桐生「新鋭王座決定戦」(現ヤングダービー)だけ。「ウエスタンヤングだから、いいところを見せようなんて気持ちは全くないですよ(笑い)。他の人より苦労してA1になったので、絶対に落ちたくない。真面目に一生懸命取り組んできた自信はあるし、一走一走を大切に気持ちを込めて頑張るだけ」と静かに闘志を燃やしている。

 苦労人がエリートレーサーたちにどう真っ向勝負を挑むか――。楽しみだ。