【仲間たちの絆〜レーサーズ〜】ボート界に存在する様々な師弟関係、グループ、人脈を公開する企画「~仲間たちの絆~レーサーズ」。第2弾の今回、スポットを当てるのは山口支部の最ベテランである新良一規のグループに属する田中浩之(43)と佐藤駿介(24)の師弟だ。

 山口・宇部高校の先輩後輩という縁で結ばれた2人。弟子である佐藤は羽野直也や仲谷颯仁など成長著しい110期以降の“新世代”の一員。そして知る人ぞ知る波巧者でもある。1Mのうねりで有名なボートレース福岡の初参戦時には5、6着なしで準優に駒を進める快進撃。果敢に握って攻めるレースも売りの一つで、今後のブレークが期待される若手といえよう。

 そんな佐藤が感謝してもしきれない存在が師匠の田中だ。

「レースできるようになったのは、田中さんのおかげです」と佐藤。

「デビューしてすぐのころ、遠くから教えに来てくれました。(着外になることが多く)1Mだけしか映ってないのに、毎回リプレー(映像)を一緒に見て。レースのイメージがつかめるようになったし、今の自分のスタイルが築けたのもそのおかげ」。今でも「車移動だし、お酒は飲めないから」と喫茶店などでコーヒーを片手に行うミーティングは欠かさない。

「今は僕より上手ですよ」と笑う田中だが、当初はなかなかの“問題児”だったそう。

「自分が教えたのは走り方だけ。デビューしてすぐのころは内を突いてキャビることが多かった。守りに入って、それでも守れずに抜かれてたから(笑い)。最初はどうしようか、と思ったくらいですけど、すごく上手になりました」と目を細める。

 田中が初めてかつ唯一の弟子に教えたことは、整備でもペラの形でもなく、全速ターンを心がけることだった。「とにかく1Mをきちんと回れるようにって。でも、そのおかげかコイツ、まくり差しとかも上手でしょ?」と、その腕を認めている。

 今、佐藤の目標は「まずはA級レーサー」。デビュー5期目でB1に昇格したが、2018年後期適用勝率では3・68。まだまだ成長途上だ。ただ、全国的には名前が知れ渡っていないだけに、今が狙い時の存在でもある。これからも田中との二人三脚で全速ターンを磨き初優出、初優勝、そしてA級昇格を目指す。

☆たなか・ひろゆき=1974年6月27日生まれ。山口支部の74期生。1994年5月の下関でデビュー。同9月徳山で初勝利。優勝、GⅠ出走はない。同期には鳥飼真、石渡鉄兵、辻栄蔵、守田俊介らがいる。身長161センチ。血液型=O

☆さとう・しゅんすけ=1993年9月23日生まれ。山口支部の115期生。2014年11月の下関でデビュー。16年1月住之江で初勝利。通算1着回数は28。同期には佐藤隆太郎、仲谷颯仁、野中一平、関浩哉、前原哉らがいる。身長169センチ。血液型=A。