「銀河系最弱」田中健太郎を救った同期の絆

2011年10月25日 16時34分

【白鳥幹太:ギャンブル裏街道】前回から続くボートレース85期「銀河系最弱」田中健太郎(32=岡山)物語。デビュー以来、5期連続で2点台勝率で過ごし、常に「クビ覚悟」の男が同期仲間の叱責である日、突然、改心することになる。
 1999年11月にデビュー。戸惑いの連続だった。「選手になってしまえば、どうにかなると安易に考えていたが、とてもそんな甘い世界ではなかった。今 の新人とはとても比べものにならないくらい。何もかもやり方がわからなかった」 選手である以前に社会人としての自覚に欠けていた面もある。デビューして から立間充宏ら率いるマービーズに世話になったが、度重なる失態で“破門宣告”を突きつけられることになる。
「約束事を破ることも多かったし、相手の神経を逆なでするような行動もあった。今、振り返ってもすべて自分が悪い」
 マービーズを出ることになって「一匹狼」となったが、最底辺をさまよう姿は変わらない。ほどなくして初のF2に加え前検遅参の大ポカを犯してしまう。レースを走れない半年間はラーメン店や建築現場の作業員として食いつなぎ、初めて人生の厳しさを痛感した。
「世の中ってみんなしんどい思いして生きてるんやな、と。自分もどこかボタンの掛け違いでこんな人間になってしまった…。ボート選手はもういいや、というかこれ以上、クビは続かないだろうし次の人生も考えるようになった」
 デビューして約5年。“廃業”の2文字が頭をよぎり始めた時、同期の柴田友和の結婚式に招かれた。うたげには湯川浩司、井口佳典ら85期全員が出席。 「同期のみんなと顔を合わせるのもこれが最後かも…」。そんな寂しい思いで帰路に就いた。博多から岡山までの新幹線の車中で、同県同期の田口節子に思いも かけない言葉をかけられた。
「もう一度、やり直してみる気はない? これが最後のチャンスだと思って真剣に取り組んでみない? できる限りのことは協力する」
 狭い世界だ。岡山の選手間では“ダメ人間”のレッテルを貼られていた自分に救いの手を差し伸べる人間がいるとは…。田口の熱意にほだされ意を新たにし、田口の師匠である難波雄三の手ほどきを受け、再起を誓うことになる。
「セツコにはホント、頭が上がらん」 
(この項続く)