ゼロワン春の恒例大会「奉納プロレス」(26日、東京・靖国神社)で行われた世界ヘビー級選手権は、挑戦者の田中将斗(44)が王者の佐藤耕平(39)を撃破。第21代王者となった。

 小雨が降りしきる屋外会場で、弾丸男が躍動した。序盤は王者の蹴りに苦戦するも、5分過ぎに場外テーブル上へのスーパーフライを成功させると流れが変わった。ここからは挑戦者の独壇場だ。パイプイス攻撃で相手の蹴りを封じると、セコンドの極悪軍団「ブードゥー・マーダーズ(VM)」のメンバーを巧みに介入させる。

 あまりに非情な攻撃にはブーイングも飛んだが、田中は涼しい表情だ。最後は観衆を黙らせるかのように3発目のスライディングDを命中させ、7年5か月ぶり3度目の同王座戴冠を達成した。

「VMに入って1発目やし、話題を継続させるためにもこのベルトは必要だった」。靖国の舞台にかける思いは誰よりも強かった。忘れもしないのが10年前、右肩脱臼により半年間の欠場中だった2007年4月7日の同大会だ。新弟子のように雑用をこなしながら、大会に参加した。集まった4350人超満員の観衆が熱狂する姿を目にすると、リングに立てない悔しさを感じると同時に、いつの日にか靖国のメーンでベルトを巻く姿を心に固く誓ったという。

 試合後にはジェームス・ライディーン(25)が次期挑戦を表明。田中が勝てばライディーンがVM入りすることを条件に承諾した。「ワイのスタイルはいつも一緒。田中将斗を見ればすべてのプロレスがわかる」と豪語した弾丸男は、新たな王者像を築き上げるつもりだ。