「頸髄損傷」の重傷を負った大谷晋二郎(49)の支援大会となる押忍プレミアム興行「大谷エイド」(4日、大田区総合体育館)で行われた世界ヘビー級選手権は、挑戦者の田中将斗(49)が杉浦貴(52)を撃破し、第31代王者に輝いた。

 大谷は今年の4月両国大会で杉浦に挑んだ際に大ケガを負い、団体最高峰のベルトを取り戻すことができなかった。盟友の無念も背負って王座戦に挑んだ田中は、炎武連夢のテーマ曲で決戦の舞台に向かった。

 これまで数々の激闘を繰り広げてきた杉浦との王座戦は、意地と意地の張り合いとなる。五輪予選スラムを浴びながらもカウント2で返した田中は、雪崩式五輪予選スラムを狙われる。しかし、これを阻止すると、強烈なヘッドバットから大谷の得意技スパイラルボムで形勢逆転に成功した。

 さらにエルボー合戦からヘッドバット、ローリングエルボーを決めた田中は後頭部にスライディングDを発射。最後は正面から正調のスライディングDを叩き込んで激闘に終止符を打った。

 団体最高峰のベルトを取り戻した田中は、ゼロワンの所属選手をリングに呼び込み「泣くんじゃねえぞ。大谷晋二郎が頑張ってるんだから、俺らもっと意思疎通して、このゼロワンのリングを守っていかないと」と豪語。円陣を組んで、大谷不在という最大の危機に立たされた団体を盛り立てる決意を表明した。

 田中は「上を向いて頑張っていくしかないでしょ。今は最大のピンチかもしれない。でも気持ちをひとつにしてやっていけば、全てが可能になるとまでは言えないけど、そこに近づくだけのものになると思うので」と、一致団結して大谷の帰るべき場所を守る覚悟だ。

「少なからず僕は大谷さんにすごく影響を受けてる人間。もらってばっかりだったと思うんです。ずっともらってばっかりだったので、ちょっとずつ返していかなきゃいけない」と思いを明かしていた。