WWEの祭典「レッスルマニア34」(8日=日本時間9日、ルイジアナ州ニューオーリンズ)が3日後に迫った。“ロックスター”中邑真輔(38)がWWE王者AJスタイルズ(40)に挑む大一番は世界中から注目を集めているが、もう一人の日本人選手も快挙を狙っている。スマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(31)に挑戦するアスカ(36=華名)だ。
2015年10月のWWE(NXT)デビュー以来無敗の快進撃を続けるアスカは、日本ではメジャー団体に所属した経験がない。むしろ女子プロ界では反逆児的存在だった。OL経験(デザイナー)を経て、04年にアルシオンから派生したAtoZで23歳でデビュー。当時のロッシー小川社長(60=現スターダム社長)はこう証言する。
「フツーのOLさんが入門志望してきたという感じでした。ただ目は輝いていた。デビュー前は毎日泣いてばかり。そういう顔しか見ていないから頑張ってほしいなという気持ちはありました」
その後は自主興行「カナプロ」を旗揚げ。WNCに所属後、再度フリーとなる。里村明衣子や朱里と抗争を展開して女子プロ初の「マニフェスト」を掲げ、落語にも挑戦。男子とも積極的に戦い異彩を放った。日本人で初めてWWF女子王者となったブル中野が当時の絶対的団体=全日本女子プロレス所属だったことを考えると、WWEで「大化け」した感は強い。
「彼女は(ブルとは)違う形で世界に名前を売った。これは異例。こういう選手はいなかったからね」(小川氏)。時には周囲とあつれきを起こしながらも日本独特の上下関係に縛られず、自己プロデュースに徹底する――。無名ながらその才能はWWEで開花した。NXT女子王座、ロイヤルランブル優勝と着実にステップアップして、あのリック・フレアーの娘に挑戦。異色の足跡はまさにアメリカンドリームを体現している。
「王者は男子と同じくらいの体格だけど、私は日本でいろいろな男子選手と戦ってきた。ベルトを持って日本に帰り、お見せしたい」(アスカ)
デビュー以来無敗の記録を更新し続ける新時代の女帝は、祭典でプロレス史にその名を刻み込む。