【THE RISING SUN~中邑真輔・世界の頂点へ】世界最大のプロレス団体WWEの年間最大興行「レッスルマニア34」(ルイジアナ州ニューオーリンズ)が、いよいよ8日(日本時間9日)に開催される。同大会でWWE王者のAJスタイルズ(40)に挑戦する“ロックスター”中邑真輔(38)の特別連載「THE RISING SUN~中邑真輔・世界の頂点へ」がスタート。日本プロレス史に残る大一番の行方は――。

 今年で34回目を迎える祭典は、当地のメルセデスベンツ・スーパードームで行われる。同会場は第30回大会で7万5000人超の観衆を動員。伝統も規模も飛び抜けて世界最高峰と呼ぶにふさわしいリングは、WWEスーパースターズの中でも「選ばれし者」しか上がれない特別な舞台だ。

 そんな大舞台に、今年は2人の日本人選手が主役として堂々の初出場を果たす。1月の「ロイヤルランブル(RR)」(30選手参加時間差バトルロイヤル)を男女でダブル制覇した中邑とアスカ(36=華名)だ。中邑はAJに、アスカはスマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(31)に挑戦する。

 過去、祭典出場を果たした日本人レスラーはわずか11人。RR戦を制して最強挑戦者の立場でWWE王座挑戦を果たす中邑は、これまでのどのケースとも比較できない破格の扱いと言える。試合順は未定ながら、日本人初の祭典メインイベンターとなる快挙達成の可能性も高く、中邑自身もそれを熱望している。

 王者のAJは、新日本プロレス時代からの最大のライバル。くしくも中邑の最後のIWGPインターコンチネンタル戦(2016年1月4日東京ドーム)の相手がAJだった。この試合を制した中邑は同月末で新日プロを退団し、同4月にNXTでWWEデビューを果たした。

 それから約2年。中邑自身が「最高の形での初出場かと。これ以上は望めない出場の仕方だと思う」と語るように、ベストの状況で初出場が決定した。新日時代と変わらない必殺技キンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)を武器に「イヤァオ!」と叫ぶカリスマのファイトは、海を越えて圧倒的支持を得るようになった。日本プロレス界が生んだロックスターは今、世界中のプロレスファンの視線をクギ付けにしている。

 また勝利すれば前身であるWWWF、WWF時代を含めて初の日本人ヘビー級王者が誕生する。1964年2月に故ジャイアント馬場さんがニューヨークのMS・Gでブルーノ・サンマルチノに挑んでから実に54年2か月。79年11月のアントニオ猪木のWWF王座戴冠は非公認となっており、過去10人の名だたる日本人トップレスラーが果たせなかった悲願を、中邑が達成することになる。

 祭典前の合同インタビューで中邑は「結果として勝とうと思っているのはもちろんのことですが、それ以上に中邑真輔を全世界にアピールしたい」と言い切った。世界中のプロレスファンが待望し、日本プロレス史においても重大な意義を持つ大一番で、ロックスターがその名を歴史に刻み込む。