【オハイオ州コロンバス11日(日本時間12日)発】WWEのPPV大会「ファストレーン」で行われたWWE王座戦6パックチャレンジマッチは、王者のAJスタイルズ(40)が大苦闘の末、5人の挑戦者を退けて王座防衛に成功。この勝利により祭典「レッスルマニア34」(4月8日、ルイジアナ州ニューオーリンズ)では、最大のライバル・中邑真輔(38)との夢対決が実現することになった。

 AJに挑んできたのはジョン・シナ(40)、ケビン・オーエンズ(33)、サミ・ゼイン(33)、バロン・コービン(33)、ドルフ・ジグラー(37)の5人。誰が誰を抑えても新王者となる過酷かつ、相当いい加減なルールだ。勝てば祭典のAJ対中邑に割り込んでの3WAY戦が決まっているとあって、シナが開始から飛ばした。AJ以外の4人を場外に投げ飛ばし、1対1の状況をつくる。するとAJがシナにスタイルズクラッシュ一撃。この直後に場外から4人が生還してテンポの速い大乱戦となった。

 10分過ぎ、シナが実況席上でAJをパワースラムで投げ捨てる。シナもコービンに襲われ場外にダウンだ。するとリング上では嫌われ者コンビのオーエンズとゼインが何やら相談を始めて、ゼインは大の字になって「さあ、俺から3カウントを奪って王者になれ」と予告通り姑息な作戦に出た。しかしこれはもちろんワナ。すぐさまゼインは裏切り、2人による不毛な争いが展開された。しかもオーエンズのキックはシェーン・マクマホン・コミッショナー(48)に誤爆したため、2人が大嫌いなシェーンは「誰がお前らを王者にさせるものか」と何度も妨害行為に出た。この行為が試合を正常なものに修正したことは確かだ。

 ここで他の4人が息を吹き返すと、一気に試合は急展開。まずシナがジグラーにアティテュード・アジャストメントを決めようとすると、オーエンズがこれを妨害。逆にパワーポップパワーボムでシナを投げ捨て、丸め込みの態勢に入った。

 しかし場外のAJは冷静に戦況を見ていた。オーエンズの死角からジャンプ一番、スワンダイブ式のフェノミナル・フォアアームを叩き込んで3カウント。勝ったAJは祭典のロゴに向かってWWEのベルトを掲げて「ナカムラ、待っているぞ!」と叫んだ。実況席も興奮気味で「スーパースターとの激闘をくぐり抜け、祭典ではAJ対中邑のドリームマッチが実現だ!」と絶叫した。
 
 ついに世界の大舞台で激突する両雄。中邑とAJの名勝負物語はまたひとつ新たな章へと突入し、WWEの歴史にその名を刻み込む。