【マサチューセッツ州ボストン17日(日本時間18日)発】WWE・スマックダウンのPPV大会「クラッシュ・オブ・チャンピオンズ」は大混乱の結末となった。中邑真輔(37)が“毒蛇”ランディ・オートン(37)と黄金タッグを結成するも、サブレフェリーのダニエル・ブライアンGM(36)が疑惑の3カウントでケビン・オーエンズ(33)、サミ・ゼイン(33)組に勝利を与えてしまったのだ。WWE選手権は王者AJスタイルズ(40)が“インドの怪人”ジンダー・マハル(31)を退けて防衛に成功した。

 まさかの結末だ。ロウとの対抗戦をボイコットしたオーエンズ組は、負ければ追放。嫌われ者コンビの姑息な手口を封じるため、シェーン・マクマホン・コミッショナー(47)がレフェリーを務め、GMがサブレフェリーに入った。しかしこの配置が命取りになるとは、中邑もオートンも予想できなかった。

 オーエンズ組は開始から毒蛇に的を絞る。中邑は10分過ぎまで出番がない。しかもオートンがゼインをカバーすると、オーエンズはGMをシェーンに投げつけ、3カウントを妨害する。この時点から審判団には不穏な空気が流れ始めた。

 15分過ぎ、中邑が嫌われ者コンビの術中にはまった。巧みに場外へ誘導されると、実況席上でオーエンズのフロッグスプラッシュを浴びた。中邑はそのまま戦闘不能となり、リング上は一気にカオス状態に突入する。

 毒蛇とゼインが二度三度と丸め込み合戦。シェーンは毒蛇に肩入れするが、ここでGMが謎の行動に出た。リング上で正座して天井を仰ぐと、意を決したような表情で再度レフェリングに戻る。そしてゼインがカバーに入るや、極悪同盟の阿部四郎レフェリー(故人)のような超高速3カウント。嫌われ者コンビを勝たせてしまった。

 オートンと意識を取り戻した中邑は猛抗議するが、シェーンはぼうぜんとするのみ。GMは跳び上がって喜ぶオーエンズ組とバックステージへ消えた。その背中を見ながらシェーンは「お前の考えは分かった…」といった表情でうなずく。

 かねて噂が絶えなかったGMの現役復帰が実現し、シェーンが制裁に動くということなのか。

 さらには、ブライアンGMと中邑はかつて新日本プロレスの米ロサンゼルス道場でともに研さんを積んだ“盟友”だった。急転直下、反体制派となったGMの動きは当然、中邑の今後にも影響してくるはず。要注目となってきた。