【イリノイ州シカゴ21日(日本時間22日)発】WWE・スマックダウンのPPV大会「バックラッシュ」で、中邑真輔(37)が“一軍公式デビュー戦”を圧巻の勝利で飾った。元世界ヘビー級王者のドルフ・ジグラー(36)と対戦し、必殺のキンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)で鮮やかな3カウントを奪った。ついにメジャーの大舞台に立ったカリスマは、新たなステージへと向かう。

 独壇場だった。デビュー戦は第1試合。しかし大会が終わってみれば、一番場内を沸かせたのが中邑の試合だった。入場曲が鳴り響くと、地鳴りのような大歓声が起きる。ダークマッチやハウスショーには何度か登場していたものの、これが公式な“一軍デビュー戦”。しかもPPV大会のロゴには、中邑がキックを決める姿が使われている。すべてが破格の扱いだった。

 ゴングと同時に中邑が仕掛けた。まず腕を取ると、離れ際に鋭い蹴りを放つ。腕をだらんと伸ばす独特の挑発ポーズも忘れない。5分が過ぎると、場内は「中邑ワールド」一色に染まっていた。

 それでも元王者のジグラーもかませ犬では終わらない。必殺のジグザグ(リバース飛びつき式ブルドッキングヘッドロック)から後頭部へのスーパーキックで勝利をたぐり寄せる。しかしジグラーがエプロン上に倒れたところに、走り込んでのニーリフトが決まると流れは再び中邑に傾いた。

 まずリバースパワースラムでジグラーを大の字にすると、コーナーでたぎりにたぎりまくってキンシャサ弾。完璧な3カウントが入った。15分50秒、中邑がメジャー初勝利を決め、大観衆と「イヤァオ!」を合唱した。

「(大歓声に)必要以上に乗せられすぎないようにコントロールしていました。ジグラーはものすごい実力を持った選手なので。日本を離れて1年、NXTで培って自分自身が持っているものを見せられたと思います」(中邑)

 次はベルト奪取に期待がかかる。かつてのライバル、AJスタイルズ(39)はこの日、ケビン・オーエンズ(33)のUS王座に挑戦するも、場外でテレビケーブルに足が絡まるアクシデントで無念のリングアウト負けを喫した。視聴していた世界中の誰もが「中邑が挑戦していれば…」と思ったはずだ。

 しかもメーンではWWE世界王者が交代する大波乱も起きた。中邑が一気にスマックダウンの王座戦線へ食い込んでも不思議ではない。「世界のナカムラ」へ飛翔を遂げたキング・オブ・ストロングスタイル。次なる一歩から目が離せなくなった。