【アリゾナ州フェニックス12日(日本時間13日)発】悪夢だ。WWE・スマックダウンのPPV大会「エリミネーション・チェンバー(EC)」が開催され、6選手によるEC戦で行われたWWE世界王座戦は、怪奇一家の“教祖”ブレイ・ワイアット(29)が制して新王者となった。これで祭典「レッスルマニア33」(4月2日、フロリダ州オーランド)のメーンは、ワイアット対“毒蛇”ランディ・オートン(36)の怪奇一家による王座戦が有力となった。

 鉄鎖で囲まれた地獄のEC戦。挑戦者はコーナー横のガラス箱で待機して時間差で飛び出し、勝ち残った者が勝者となる過酷なルールだ。王者ジョン・シナ(39)に挑んだのはワイアット、AJスタイルズ(39)、ディーン・アンブロス(31)、バロン・コービン(32)、ザ・ミズ(36)の5人。シナとAJの対戦から試合は始まった。

 まずシナが高角度のパワーボムを決めるも、直後に入ったアンブロスがガラス箱上からのエルボーを見舞う。この後にワイアット、コービン、ミズが入ると、リング上はまさに修羅場と化した。

 コービン、アンブロスが脱落した後、シナが超人的な攻撃で一気に主導権を握る。ミズをアティテュード・アジャストメント(AA)でフォールすると、AJとワイアットにもAAを決めた。さらにはガラス箱上から決死のダイブ敢行だ。

 だがワイアットは冷静に戦況を見ていた。ダイブ弾を受けた直後、すぐに立ち上がるやシスター・アビゲイル一撃。不意をつかれた王者はまさかの3カウントを奪われた。残るは教祖とAJの2人。王座奪還に燃えるAJはオーバーヘッドキック、スワンダイブ式火の鳥スプラッシュであと一歩まで追い込む。しかしワイアットはフェノメナール弾をブロックすると、カウンターのアビゲイル弾。34分20秒の死闘を制して、まさかの新王者となった。

 これで祭典では、先のロイヤルランブル戦で優勝したオートンとの同門対決が決定。その前にシナがリマッチを要求する可能性もあるが、教祖は「最後にワイアット一家は一つとなるのだ」と不気味なメッセージ。その光景をオートンは、ステージ上から黙って眺めるのみだった。“怪物”ゴールドバーグ(50)対“ビースト”ブロック・レスナー(39)の再戦も決定して盛り上がる今年の祭典は、怪奇一家に支配されてしまうのか――。