【フロリダ州オーランド14日(日本時間15日)発】WWEのPPV大会「バックラッシュ」が開催され、メインでは“毒蛇”ランディ・オートン(40)が、44分43秒の激闘の末“R指定の男”エッジ(46)に辛勝も後味の悪い結末となった。

 遺恨に終止符を打つべく「グレーテスト・レスリング・マッチ・エバー」と銘打たれた今回の一騎打ち。エッジは1月「ロイヤルランブル」時間差入場バトルロイヤル戦で約9年ぶりに復帰。かつての相棒オートンと一瞬は共闘するも、最終的には失格に追い込んだ。祭典「レッスルマニア36」のラストマンスタンディングマッチでは壮絶戦の末にエッジが勝利。それでも引退を勧告し続ける毒蛇が「純然たるレスリングの試合で決着をつけよう」と要求。今回の一戦が実現した。

 試合はタイトル通りにガッチリとロックアップからスタート。オートンはヘッドロック、エッジはアームホイップ連打からグラウンドでヘッドロック。見応えのあるクラシカルな展開となった。

 オートンはグラウンドでエッジのスタミナを奪いに出るが、逆にエッジはヘッドシザースで毒蛇を場外へ。エプロンの攻防を制すると、コーナーからエプロンでフライングラリアートを決めた。さらにパンチの鉄槌を下すと、毒蛇の目尻からは鮮血がしたたり落ちた。リングに戻ると河津落としからクロスフェースロック。必殺のRKOを未然に防ぐと、祭典でも勝負を決めたスタンディング式肩固めに出た。

 この技で暗い記憶がよみがえったオートンが狂気の攻撃に出る。場外に転落させるとバリケード、スチール製階段、実況席…あらゆる場所にエッジの顔面を打ちつけ、実況席では危険な角度でバックドロップを放った。

 さらには残忍さを象徴するような指への踏みつけ攻撃から、強引なスリーパーホールドで絞め上げた。エッジは強引に外すと脳天砕き連打、毒蛇も顔面砕き連打と譲らない。反則も凶器もない堂々たるレスリング勝負だ。

 ここでオートンが最上段から雪崩式脳天砕き。エッジもミサイル弾を決めるやロープを握ってのペレキック、さらには往年の必殺技エッジキューション(変型DDT)まで決めてみせた。

 エッジの猛攻は止まらない。スライディングエルボーからフライングクロスボディーアタック、さらにはコーナーに衝突したと見せかけてクロスフェースロックで絡みついた。

 ここから勝負は予想もできなかった展開となる。エッジを強引に抱え上げたオートンは、何と“世界最高のプロレスラー”カート・アングルのアングルスラムで後方に投げ捨てる。耐えたエッジは高角度のパワーボムで必死に食い下がった。

 オートンがエレベイテッド式DDTを決めるも、トドメのRKOはエッジが巧みに回避。スピアー、RKOとお互いが必殺技を見切った後、エッジは盟友クリスチャンのアンプリティアー(変型顔面砕き)一撃。するとオートンは何とトリプルHの必殺技ぺディグリーを見舞う。受けたエッジはザ・ロック様こと俳優ドウェイン・ジョンソン(48)のロックボトムで反撃したから驚くしかない。まさに試合のタイトル通りの「前例のない歴史的な一戦」であり「WWEの歴史」が詰まった一戦となった。


 そして毒蛇が完璧なRKO。エッジはカウント2・9で返す。万策尽きたといった表情を浮かべた毒蛇は、ダウンするエッジを見つめて熟考した末にトドメのRKOに入る。ところがこれはエッジがスピアーで迎撃。エッジは間髪を入れず追撃弾を放つ。9年間のブランクが信じられないほどだ。
 しかしオートンはエッジのフライングアタックをRKOで迎撃。耳元で「エッジ、もう終わりだ。家に帰れ」とささやいた後、衝撃的結末が訪れた。何と名勝負をブチ壊すようにローブローを放つと、現在WWEでは危険技として禁止されているパントキック(顔面へのサッカーボールキック)でエッジをKOしてしまったのだ。

 場内には大ブーイングが起きる。3カウントを奪った後、大の字のエッジの耳元でオートンはまた何かをささやいてリングを下りた。歴史的激戦は実に後味の悪い形で結末を見た。エッジの反撃は必至で、レイテッドRKOの遺恨決着はまた次回へと持ち込まれた。