【ペンシルベニア州フィラデルフィア8日(日本時間9日)発】まさかの展開だ。WWEのPPV大会「エリミネーション・チェンバー(EC)」で、“黒いロックスター”中邑真輔(40)が“巨獣”インターコンチネンタル(IC)王者ブラウン・ストローマン(36)との3対1ハンディキャップ戦に臨み、何とマネジャー役で“米国の外道”ことサミ・ゼイン(35)が新王者となってしまった。

 中邑はゼインとセザーロ(39)を帯同してリングイン。2日前のスマックダウン(SD)大会では、今年の殿堂入りを果たした「nWo」のメンバー(スコット・ホール、ケビン・ナッシュ、ショーン・ウォルトマン)に威嚇された上、王者の頭突きで大の字にされたばかり。数的に圧倒的に有利な本番では、醜態はさらせないと背水の陣を敷いて出陣した。

 挑戦者組は開始から小刻みなタッチワークで巨獣を幻惑する。中邑はヒザ蹴り、延髄斬り、テークダウンしてからのヒザなど得意の攻撃で圧倒するも、絶対に深追いはしない。約30秒単位でタッチを繰り返し、スタミナのロスを最小限で食い止める。

 背後からのスリーパーをバックドロップで返されて中邑がピンチに立たされると、ゼインが場外を走り回ってリング下に隠れる得意の動きでストローマンをかく乱。そのスキに中邑はしっかりと呼吸を整えた。

 明らかにガス欠となった王者の後頭部へキンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)を決めると、エプロン上でもキンシャサ弾を発射。最後は中邑とセザーロの合体脳天砕きに、ゼインがヘルヴァキック(ケンカキック)を合わせる複合技でマネジャー役が新王者となってしまった。

 ぼうぜんとするストローマンの横でNXT王座以来のベルト獲得を果たしたゼインは歓喜の雄たけび。中邑も自分のことのように祝福して3人は意気揚々とリングを下りた。

 結果的にIC王座は中邑軍の元に戻ってきたわけだが、今後は策士ゼインが、中邑戴冠のために、あの手この手を使ってくるのは間違いない。IC王座をめぐる争いは、かなりややこしい展開へ突入しそうだ。