【テキサス州ヒューストン26日(日本時間27日)発】WWE2020年最初のPPV大会「ロイヤルランブル」が当地のミニッツメイド・パークで開催され、ロウ女子選手権はWWE女子タッグ王者のアスカ(38=華名)が、王者の“ザ・マン”ことベッキー・リンチ(32)に惜敗。2冠王達成はならなかった。

 前哨戦は度重なる毒霧噴射でアスカが圧倒。先週のロウ大会では、相棒のカイリ・セイン(31=宝城カイリ)がシングル戦で敗れると、アスカロックからのバズソーキックで王者を完全KOしてしまった。

 もう後がないカリスマは不退転の決意を全身に漂わせてリングイン。アスカが待つリングへと向かった。開始は静かな立ち上がりとなり、王者がロープを使った腕固めで先制。それでも女帝はエルボー連打、最上段からのミサイル弾、閃光魔術弾でペースを譲らない。リング下からはカイリが休むことなく声を上げ続けており、ベッキーは明らかに戦いにくそうだ。

 それでもヒップアタックをダブルニーで迎撃すると、エプロンからリバース脳天砕きでアスカを場外に叩きつける。すかさずエプロンからのミサイル弾、場外バリケードへのべクスプロイダー、ダイビングギロチン弾と王者が一気に勝負に出た。

 しかしアスカも蹴り足を止めず、網打ち式ヒップドロップからエプロンで危険なヒップアタックを放ち、王者の後頭部をしたたか鉄柱に打ちつけた。

 さらにはコーナーから飛んできた王者を剣山で迎撃すると、アームバーから必殺のアスカロック。惜しくもこれはニアロープだった。しかし女帝の攻撃は止まらない。ジャーマンからの非情な顔面蹴りで王者がダウンするとレフェリーが試合を止めようとするが、ベッキーはレフェリーの足をつかんで試合続行を求める。まさに鬼のような執念だ。

 ここからベッキーが闘争本能だけで反撃に出た。強引にディスアーマー(腕固め)を狙うも、フックできないと見るやリバースDDT。ダブルダウンの状態から両者が立ち上がると一気に試合が動いた。

 アスカが毒霧噴射を狙うも、王者が寸前でボディーへ強烈なスピンキック。ダメージが深いアスカは、空中に緑色の毒霧を吐いてゆっくりと後方に倒れた。すかさず王者が入魂のディスアーマーを決めて、女帝からタップを奪った。

 ベッキーは会場四方にベルトを誇示したが、笑顔はなく表情には安堵感のみが漂っていた。昨年の「RR」ではアスカがベッキーからスマックダウン女子王座を奪っており、借りを返された格好だ。カリスマと女帝、WWE女子のトップを張る2人の抗争はまだまだ終わらない。