【ニューハンプシャー州マンチェスター9日(日本時間10日)発】WWEのスマックダウン(SD)大会で“黒いロックスター”中邑真輔(39)がWWEインターコンチネンタル(IC)王者のフィン・ベイラー(37)を撃破。US王座以来となる同王座奪取へ大きく前進した。

 SDマットでは実に初のシングル戦。中邑は開始から感覚を楽しむかのようにベイラーとハイレベルの攻防を続けた。そして8分過ぎ、中邑が一気に勝負に出た。エプロン際で後頭部にハイキックを見舞うと、場外へ滑り込んでロープに後頭部を打ちつける独特のムーブで王者を幻惑する。

 場外に落ちても蹴り足は止まらない。大きくステップを踏むと、観客席柵から走り込んでのキンシャサ・ニー・ストライク(ボマイェ)をベイラーの顔面に炸裂。場外でムダな時間を使わず、中邑は即座にリングに戻るや再度、キンシャサ弾の体勢に入る。そして全身をたぎらせ渾身の一撃が決まり、完璧な3カウントが入った。

 昨年8月の「サマースラム」でUS王座を奪取したのを最後にシングル戦線から身を引いていた中邑だが、6月25日SD大会でベイラーの王座に挑戦を表明。日本公演(6月28、29日=両国国技館)の初日ではセス・ロリンズ(33)のWWEユニバーサル王座に挑戦。翌日はトリプルH(49)と夢のタッグを結成。戦いの最前線へ戻りつつあった。

 そしてこの日のベイラー戦勝利。新日本プロレス時代は常に中邑が格上だったが、WWEメジャー昇格後はベイラーに先を越されていた感は否めない。しかしこの日の勝利でIC王座挑戦を確実なものとして、再びWWEのタイトル戦線に戻った。現存するベルトではWWE王座(王者コフィ・キングストン)に続き、WWEユニバーサル王座(王者セス・ロリンズ)と並んで格のある王座だ。

 両雄の激突は真夏の祭典「サマースラム」(8月11日、カナダ・トロント)が確実視される。US王座奪取から1年。さらに高い位置を目指して、中邑は真夏の大一番に向かう。