【WWE】ビンス会長また強権発動 コフィのWWE王座挑戦権剥奪

2019年02月27日 14時49分

挑戦者オーエンズ(左)を紹介するビンス会長 (C)2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.

【ノースカロライナ州シャーロット26日(日本時間27日)発】またしても悪の強権発動だ。WWEのスマックダウン(SD)で、最高権力者ビンス・マクマホン会長(73)が、次回PPV大会「ファストレーン」(3月10日、オハイオ州クリーブランド)のWWE王座戦をひっくり返した。

 冒頭で調印式が行われ、悪の王者“ニュー”ダニエル・ブライアン(37)と挑戦者コフィ・キングストン(37)が出席。前哨戦で2回王者からフォールを奪い、17日のEC戦でもあと一歩まで追い詰めた実績が認められ、初挑戦が実現した。

 新ヒーローの登場にはしゃぐシェーン&ステファニー・マクマホンコミッショナーのおおげさな紹介の後、すっかり時の人となったコフィはニュー・デイのメンバー(ビッグE、エグザビアー・ウッズ)とお祭り騒ぎで入場する。険しい表情の王者は何かを考え込んだまま沈黙を貫く。コフィが意気揚々とサインをしようとした瞬間「ちょっと待ちたまえ」と最高権力者ビンス会長が制止したから場内は騒然となった。

「コフィ、君は頑張った。しかし私は最高の選手を最高の舞台に用意したいのだ。君の代わりに挑戦する男を紹介しよう。ケビン・オーエンズだ」

 あまりに一方的、かつ現状を無視した不可解な挑戦権剥奪だ。ビンス会長はロウ女子王座戦でも同様の強権発動を行い、カリスマのベッキー・リンチ(32)から挑戦権を剥奪。権力者サイドの女王様シャーロット・フレアー(32)を代役に抜てきして、王者ロンダ・ラウジー(32)が王座を返上するなど、いまだに大混迷が続いている。最高峰のWWE王座にまで介入するのだから開いた口がふさがらない。

 紹介されたオーエンズはステージから緊張した表情でリングに向かう。昨年10月にヒザを手術して以来、今回が復帰戦となるのだからそれも当然だ。ニュー・デイの他のメンバーは「何だそれ!」と大騒ぎするが、コフィはぼうぜんとするのみ。お祭り屋3人はカーニバルが終わった後、帰路につくようにトボトボと引き揚げた。

 コフィは「俺には分かってるさ…」と言わんばかりに涙目でうつむいてバックステージへ。その全身からはリアルなブルースが鳴り響いていた。仮に今、コフィがベルトを手にしたとしても、母国ガーナの川に放り捨てていたに違いない。

 結局、王者とオーエンズは調印証にサイン。結局、最初から18分間テーブルに座っていたブライアンはひと言も発しなかった。バックステージに戻るとシェーンとステファニーがオーエンズに「どういうことだ?」と疑惑のまなざしを向ける。親子間でも協議はなく、ビンス会長の独断だったようだ。権力者にこびを売ることにかけては北米一のオーエンズは「俺も今日知ったんだ。ビンスは俺の価値を分かってる」と答えた。兄と妹は最後まで懐疑的な視線を向けていた。

 さらにオーエンズはメインでコフィと組んで王者とタッグ戦で戦いたいと要求。前妻と現妻が同居して夫を奪い合うような残酷な試合が実現した。

 それでも努力の人・コフィは腐ることなく涙ぐましいまでに献身的なファイトを見せた。王者のパートナー、ローワン(37)にコーナーからダイビングボディーアタックを見舞って王者を孤立させる。そのスキにオーエンズがカウンターのスタナーでブライアンを沈めた。よく考えれば王者も災難だった。

 試合後、健気なコフィはオーエンズの勝利を祝福。次回PPVでの挑戦はなくなったが、今の人気を考えれば、早い時期に再びチャンスが訪れそうだ。しかしビンス会長とオーエンズに対する反感、マクマホン一家内の不協和音、混乱に巻き込まれた王者の不満など多くの火種は残った。次回PPV、そして祭典「レッスルマニア35」(4月7日、ニュージャージー州イーストラザフォード)まではいばらの道が続きそうだ。
「ファストレーン」は日本時間3月11日にWWEネットワークで生配信(日本語実況版つき)される。