【アリゾナ州フェニックス27日(日本時間28日)発】イオとカイリは健闘及ばず――。WWEのPPV大会「ロイヤルランブル(RR)」で30選手参加の時間差バトルロイヤル女子RR戦が行われ、アスカ(37=華名)とのスマックダウン女子王座戦に敗れたばかりの“ザ・マン”ベッキー・リンチ(31)が緊急出陣。奇跡の優勝を果たした。

 トップバッターはNXTから昇格してメジャーデビュー戦となる美女レイシー・エバンス(28)。続けてベテランのナタリア(36)、ビキニ悪女のマンディ・ローズ(27)といきなり主役級が登場した。

 昨年は、この日の第1試合で難敵ベッキーを退けてスマックダウン女子王座を防衛したアスカが殊勲の初出場優勝を飾っており、超満員4万8193人の注目は日本勢の活躍に集まった。
 
 前NXT女子王者カイリ・セイン(30=宝城カイリ)は14人目に登場。脇目もふらずに女王様シャーロット・フレアー(32)に突っかかると、エルボー連打を見舞う度胸を見せつけた。その後もインセインエルボーを放って存在感を見せつけるも、ネオパンク女子集団ライオット・スクワッド(ルビー・ライオット、リブ・モーガン、サラ・ローガン)の謀略にはまって8分後に場外転落で失格となった。

 カイリとちょうど入れ替わる格好で“天空の逸女”紫雷イオ(28)は23人目に登場。エンバー・ムーン(30)と派手な打撃戦を展開し、女王様シャーロットにもエルボーをぶち込んだ。29人目に登場した大型女ナイア・ジャックス(34)に果敢にもボディーアタックを見舞うも、そのまま抱え上げられ場外に投げ捨てられた。

 大波乱はこの後に起きた。夫ルセフ(33)が中邑真輔(38)に敗れてUS王座を失った試合で負傷したラナ(33)が入場途中に花道で倒れこむと、2時間前にアスカに敗れたベッキーが代役出場を志願。本部席が認めたため、前代未聞のタイトル戦&RR戦ダブルヘッダーが実現したのだ。

 30人目のカーメラ(31)が登場するとリング上はベッキー、シャーロット、ナイア、ベイリー(29)を加えた5人が残った。その後はカーメラ、ベイリーが転落。リング上は女王様、大型女、ザ・マンの3強が残った。

 ここでベッキーは間合いを取ってリング下に隠れる作戦に…。するとシャーロットは109キロのナイアをデスバレーボムで投げ捨てた後、もう一度抱え上げてエプロンに落とすと、ベッキーが足を引っ張って失格とさせた。

 残るは女王様とベッキーのみ。もはや伝説となった昨年10月「ラストウーマン・スタンディングマッチ」の再現だ。しかしベッキーは怒ったナイアに左ヒザを破壊されてしまい、大ピンチに立たされる。それでも驚異的な執念でシャーロットのビッグブーツを寸前でかわすや、エルボーで場外に叩き落としてまさかの優勝を決めた。

 王座戦を戦った後にRR戦に緊急出場して優勝した女子はもちろん史上初。これでベッキーは敗退から3時間足らずで「レッスルマニア35」(4月7日、ニュージャージー州イーストラザフォード)での王座挑戦権を得たことになる。1時間13分にも及ぶ激闘は、誰も予想できなかったエンディングを迎えた。