【テキサス州サンアントニオ16日(日本時間17日)発】WWEのPPV大会「ヘル・イン・ア・セル」は、大混乱の結末に終わった。メインのWWEユニバーサル戦に合計5選手が乱入。前王者の“ビースト”ブロック・レスナー(41)までが大暴れを演じ、無効試合に終わった。

 王者の“大型犬”ローマン・レインズ(33)に“巨獣”ブラウン・ストローマン(35)が挑んだ一戦。天井付き鉄おりのリングで行われたセル戦を裁いたのは、殿堂入りも果たしたレジェンドのミック・フォーリー(53)。“怪人”ジ・アンダーテイカーとのセル戦(1998年)で見せた「8メートル転落」の伝説のシーンを今でも語り草だ。

 開始から両雄が正面から激突。金網が大きく揺れる。ストローマンがイス、レインズが竹刀という乱戦になると、大型犬は机を持ち出してハードコア攻撃を狙う。しかしこれは挑戦者に阻止され、逆にスチール階段攻撃でダウンだ。さらにパワースラム一撃。しかし王者はスーパーマンパンチ連打から机を利用したスピアーで形勢を五分に戻す。

 精根尽き果てた2人は両者ダウンとなってしまった。

 ここで巨獣軍のドルフ・ジグラー(38)とドリュー・マッキンタイア(33)が乱入。するとザ・シールドのセス・ロリンズ(32)とディーン・アンブロス(32)が盟友レインズの救出に駆けつける。この時点でリング上は6人。王座戦を無視するように乱入組が大乱闘を展開し、金網をよじ登った4人は天井で殴り合うと、アンブロスが竹刀で敵軍を蹴散らす。リング内の王者と挑戦者はまだ大の字のままだ。

 ここでジグラーが逃走。追いかけたロリンズとセル側面で争いになると、4メートル下の実況席に転落してしまう。場内には悲鳴が渦巻いたが、衝撃は続いた。何とここでレスナーのテーマ曲が鳴り響くとビーストが登場。強引に鉄おりの扉を壊すとリング内に飛び込んでイス、机でレインズとストローマンを叩きのめしてしまった。

 さらにはF5で2人をKO。不精ひげをたくわえて凶暴さを増したレスナーは、大の字の2人を置き去りにして引き揚げた。ここでレフェリーがようやく無効試合を宣告。大混乱のうちにセル戦は幕を閉じた。UFC復帰が確実となっていたはずのレスナーだが、状況に変化が生じたということなのか。完全決着をつけるためのセル戦は、さらに巨大な戦火を呼び起こす結果となった。